未来-4
「彼女の病は、特殊な病で未だに治療法が無い病です」
担当医は、淡々とそう言った。俺は、文字通り目の前が真っ暗くなった。
「……そうですか」
俺は、それだけしか言うことが出来なかった。
「私の方も、今はまだ調べています。もしかすると、治療法が見付かるかもしれません。ただ、それがいつになるかは、分かりません」
担当医は、そう言葉を結んだ。俺は、部屋を後にしてアイツの待つ病室に向かう。
「いらっしゃい」
綺麗な笑顔でアイツは、俺を出迎えてくれた。
「おう」
俺は、いつも通りに椅子に座る。座るが、緊張して次の言葉が続かない。
「どうしたの?」
アイツは、そう聞いてきた。
「ん?ちょっとな」
「そう」
何とか落ち着きを取り戻し、俺は話始める。
しかし、彼女の方もあまり話を聞いていない。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ、御免ね」
そう言うとお互いに無言になる。何か言おうと、口を開こうとするとアイツが先に口を開いた。
「ねぇ、遥」
「何だ?」
「もう、来なくて良いよ」
アイツは、一言そう言った。
「何でだ?」
俺は、大声を出しそうな気持ちを抑えその理由を聞こうと尋ねた。
「だって、こんな病人よりかは健康な人たちといた方が良いでしょ?」
アイツは、そう言った。俺は、それだけ聞くと口を開いた。
「……言いたい事は、それだけか?」
「ん」
アイツは、それ以上何も言ってこなかった。だから、俺は言う。
「ふざけるな!!そんな、下らん理由で俺が来ないわけ無いだろうが」
そう言うと、アイツは唖然とこちらを見詰める。
「でも………」
「でも、じゃない」
俺は、椅子から立ち上がりアイツのベッドに乗る。
「そんな事言うな、お前が病人だろうが関係ない。俺は、お前だからこうしてここにいるんだ」
俺は、そう言ってアイツを抱きしめた。アイツは、俺が抱きしめると顔を赤くしたが直ぐに涙を流した。