未来-2
『本当だよ』
俺は、それを見るとその場を去りアイツが入院している病院に乗り込んだ。バスで病院に向かうが、病院前のバス停に降りた直後にアイツから電話が入る。
『やっほ〜』
アイツは、そう言った。俺は、何故退学したのか聞くとアイツは、いつものような声で答えた。俺は、その答えに対して一つの気持ちに支配されていた。その感情は、怒りだった。
俺は、アイツの病室に乗り込もうと歩き入り口の前に立ち、扉を開けようとすると中から嗚咽が聞こえた。
それを聞いたときに、俺の中にあった怒りはあっという間に消えた。俺は、その場を後にして自動販売機に行きジュースを二本購入して再度病室に行く。俺は、扉を叩きアイツの許可を貰い扉を開く。
「元気かぁ〜」
「うん」
俺は、出来るだけ明るく声をかける。アイツの目は、少し赤くなっていたが俺は、それを気が付かないふりをする。
「差し入れだ」
「ん、ありがとう」
ジュースを一本渡し、俺は椅子に座りもう一本を開けちびちびと飲む。俺たちは、無言で窓から外を眺めた。
「………ごめんね」
アイツは、ポツリと呟いた。俺は、恥ずかしいがアイツの頭を撫でる。アイツは、嫌がるわけでも無く嬉しいのか微笑んでいた。
「何なんだろ、私」
そう呟いた。
「これからって時にこんなんなって」
そう言ってアイツは、苦笑いを浮かべた。俺は、何も言わずにただ側にいる。
「ごめんね」
もう何度目かも分からない、謝罪の言葉が出る。
「気にするな」
だから、俺はそう言う。それで、吹っ切れたのか話題を変えた。
「あ〜あ、にしてもこんな所にいたら恋だって出来ないよ〜」
間延びしたしゃべり方で、現状の文句を言う。
「仕方が無いだろう、お前は病人なんだから」
「ちぇっ、早く治らないかな〜」
そう言って全身をベッドに預ける。俺は外を眺め暗くなり始めたので帰ろうと椅子を立ち上がった。
「もう帰るの?」
寂しそうに、こちらを見てくる。
「ああ、もう暗いしな。時間がある時には必ず来るさ」
「ホント?」
「ああ」
それに納得したのか安堵した表情を見せたが、直ぐに恥ずかしそうに顔を赤らめた。