EP.3「ついてるよ、ここ」-5
「ほら」
そして、外に出てすぐそれを1つ渡してきた。
冷たいものを奢れとは思ったが、あんまり嬉しくない。
鮮やかな真っ白のバニラアイスは強い日射しで、早くも表面が溶け始めていた。
「これを買いに来たのか」
「うん。ここにしか売ってなくて。近くには無いのよ、変だと思わない?」
俺は、たかがアイスの為にあそこまで自転車を飛ばせた姉ちゃんの方が変だと思う。
何処にでもありそうな物にしか見えないな。それに、バニラ味なんて、ありきたり過ぎるじゃないか。
「んぅ〜〜〜・・・」
ね、姉ちゃん、好きなのは分かったけど、そんなに咥えるなんてはしたないぞ。
あ・・・ああ、そんなにじゅぽじゅぽスロートしちゃうなんて、何考えてるんだ!
「ん、んっ、んふぅ」
・・・今、笑った。
太くて堅い(最初のうちは)モノをしゃぶりながら、嬉しそうに笑ってる。
姉ちゃん、やめろ。口から白いものを垂らして、しかも外でこんな真似を・・・!
「はぁ、美味しかったぁ」
舌なめずりをして心から嬉しそうに微笑んでいる。
・・・姉ちゃんは変わった、こんないやらしい人じゃなかったのに。
「ついてるよ、ここ」
「ひっ?!」
姉ちゃんは俺の右手を掴み、舌でクリームが垂れている指をなぞった。
ドキドキしている俺をよそに持っていたアイスを奪い、口に咥えてしまう。
「食べてないから貰っちゃった。あんたが悪いのよ、奢ってもらったのに食べないんだから」
「・・・・・・」
何も・・・・考えられない。
姉ちゃんの今の、指を舐める顔、すっげえエロかった。
何、考えてんだよ。知らなかったけど姉ちゃんって変態だったのか?
家に帰っても、目蓋にさっきの光景が焼き付いたままだった。
「どうした、信之介。変・・・なのは前からだけど、今日は特におかしいよ」
「姉ちゃんには言われたくないね!」
「あのアイス、美味しくなかった?私は好きなんだけど」
「そういうんじゃねえよ」
ついさっきまではちゃんと姉ちゃんの顔を見る事が出来たのに、また直視出来なくなってしまった。
とにかく、これで一先ず姉ちゃんからは解放された。
早く自分の部屋に戻ろう。さっきは行こうとしたら連れ出されちまったし、今度こそ戻ってやる。