「三角形△ワルツ」-6
……信じられない。
なに、この状況?
でも…
あたしの脳裏をちらつくのは、ついさっきの凌。
強い瞳で見据えられて。
そそるとか、可愛がるとか言われて。
そして、下半身の緩やかな振動。
…っ!
ずきずきと、あたしのアソコが熱を帯び始めた。
やだ…こんな無機質なモノに感じさせられるなんて!
くふっ、とハンドタオルの中で吐息が漏れる。
ぴくん、と体のどこかが反応している。
たった数分の間に、だんだんと感度が上がっていくのが分かった。
とろり、と股間がぬめるのを感じる。
足首をランダムに回し、爪先を動かして、なんとか快感を逃そうとした。
でも効果は無くて…
「…ふーっ…ふーっ…、…っぐ、んむっっ…!」
やだっ、イッちゃう…!
でも、イッたって機械は止まらないんだ。
分かってるのに…、来るっ、来ちゃう…!
も、イく……!!
…―ぴんぽーん
「っ!?」
えっ、なっ、何?誰?
凌が帰って来たの?
…―ぴんぽーん
ドキドキドキ…
「…りょーう!
いないのー?」
……は!?
女の声じゃないの!
凌を名前で呼び、家を訪ねてくる若い女性…一体、何者なの!?
あたしは完全にパニクッていた。
でも、ちゃんと聞き逃さず、更に追い討ちをかける音…
…―ガチャリッ
…あ、あ、合鍵ぃ〜!?
あたしだって持ってないのに、誰、この人!
凌は、たしか一人っ子よね!?
じゃあ家族じゃないよね?
って言うかっ、このカッコ、見られるっ…!?
「おっじゃま〜!
ちょっと上がらせてもらうよ〜ん」
死角である玄関から、カタコトと靴を脱ぐ音がする。
やばい、居間に入った途端、ベッドが目に入るはずなんだ。
やばい、やばい、やばい…!
…ぎゅっ、恐怖に目をつむる。
「ふー、部屋ん中、すずし…
…うぉっ!?」
…しーん
あたしは、閉じていた目を恐る恐る開いた。
そこに立っていたのは…
はっきり言って、ギャル。
露出度の高い服、盛られた髪、アイラインくっきりな瞳。
悔しいけど美人で、でもアッサリ顔の凌とは、血が繋がっていないことが一目で分かるほどのハデな顔立ち。
そんな迫力満点のギャルが、情けないカッコのあたしを凝視していた。