「三角形△ワルツ」-19
「あ、タマゴちゃん、それねー、もうダイジョーブ!
ちゃんと言ってきかせたから、ね?」
…?
「…ほら」
「っ、きゃあ!」
いきなり、リサコ様、いや、リサコが、あたしの足を持ち上げた。
指差すのは…足首?…あっ!
「ほら、こんなにスレて腫れちゃってる。
おねぃさん、肌弱いんでしょ?
そうゆう人には、パイパンはオススメできないんだよねー。
凌、分かったぁ?」
「…分かったよ…ちぇ」
うわ…ほんとに残念そう…。
でも…
「ねぇ凌、おねぃさんが、前にメールで言ってた好きになった人なんでしょ?
その人のことはいじめらんないって言ってたじゃん?
どーしちゃったの?」
そうだよ、なんであたしはお仕置きされなきゃいけないの?
それに…あたしをいじめられないってどういうこと?
「…だって、好きになったのは俺だから。
あんなプレイしたら嫌われると思って。
…でも」
…でも?
「珠子さんの同期の…男の先輩が言ってたんだ、若狭が落ちるのは時間の問題だ、飲んだ時にエロいアピールされた、って…。
でも、珠子さんは何も気付いてない。
それって、無意識にやってるってことだろ?
俺のこと…好きじゃないから」
…っ!
どうしよう?
やってないと、否定するのは簡単だ。
でも、それより大切なのは…
「…相模 凌!
あたしはあなたが好きです!
他の男なんて、欲しくない!
凌だから、Sでも受け入れられるの。
凌になら、いじめられたいと思えるの。
凌がイヤなら毛も剃るし…
凌に必要なら…リサコさんがセフレでもいい!」
「「…へっ?」」
なぜか、二人のマヌケな声がハモった。
目を合わせて…リサコは爆笑。
「いや…珠子さん、リサコとはもう…」
「そ、そ、あたしが留学した後、凌がメールで言ってきたんだよ?
好きな人ができたから、セフレはおしまい、合鍵を返してくれ、って」
…そう、だったんだ。
「だからね、今日、鍵を返しに来たんだけど…こんなコトになるなんてねー、あはは」
「でも…凌の方こそ、あたしなんかでいいの?
あたしはMじゃないし…物足りないかもしれないよ…?」
本性の方の凌が、誰か他のMの子をセフレにしたとしたら…。
いまだ自分の指で涙を拭えず…雫は顔を伝ってシーツにパタパタと音を立てている。