五日目-5
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危ね――っ
みのりさんが出てった直後に玄関の鍵を開ける音が聞こえて、咄嗟にカーテンを閉めた。みのりさんがくれたアイス枕を布団の中に隠したと同時に母さんが部屋に入ってきた。
「秀徳!何あのリビング――…」
ぐちゃぐちゃのリビングに怒り心頭の母さんは、寝てる俺を見て
「おでこに何貼ってるの?」
と聞いた。
…おでこ?
触ると、確かに何か貼ってある。あ、熱冷ますやつか。みのりさんが貼ってくれたのかな。
「…」
え、前髪とかに触ったってこと?そーいやアイス枕も頭の下に敷いてある。それも頭を持ち上げなきゃできないよな。
寝てる間にされていたことを思い浮かべたら、余計に熱が上がった気がした。
「どうせエアコンつけたまんまでゴロゴロしてたんでしょ」
「家ん中暑いんだよ」
「来月の電気代次第ではあんたの小遣いが減るからね」
「えぇ〜」
「さっさと薬飲んで寝なさい」
「薬どこ」
「自分で探しなさい。お母さんはあんたの散らかしたリビング片付けなきゃいけないんだから」
「はいはい」
母さんが出ていって階段を下りる足音が完全に聞こえなくなってから、部屋のカーテンを開けた。
「みのりさ――…」
みのりさんの部屋は、窓もカーテンも閉められていた。
電気も消えてる…
「みのりさん」
呼んで、コンコンと窓を叩いた。でも返事はない。
「…」
急に鼓動が激しくなった。
嫌な予感でいっぱい。
みのりさんは俺が母さんと付き合ってるって思ってる。話し声で、母さんが帰ってきたことには気づいてるはず。
だとしたら、みのりさんはどうする?
俺だったら、もう――…
「みのりさん!」
再度窓を叩いた時、携帯が鳴り響いた。
誰だ、こんな時に…
ディスプレイを確認しても発信主は分からない。見覚えのない数字が並んでる。