EP.1「ここ」-4
ここは確か・・・
「小さな頃は良く一緒に遊んだね、懐かしい」
最近、いや中学生になってから来なくなっていた。
ここは決して大きな公園じゃないが砂場、ブランコ、滑り台、ジャングルジム、トンネルと、一通り揃った最高の遊び場だった。
「・・・はは」
試しにブランコに座ってみたら、狭くて両側のももが痛い。
これに限らず今見てみると滑り台もトンネルも小さく見える。まだ高く感じるのは、ジャングルジムくらいか。
そのジャングルジムに、姉ちゃんが攀じ登っていく。
久々なのかぎこちなかったけど、すぐに頂上まで登り切ってしまった。
「信之介ー!」
手をひらひらさせて俺を呼んでいる。やれやれ、行くしかないか。
こんな所に連れてきて何をするつもりなんだ、姉ちゃん。
緑のパイプで組まれたジャングルジムを登り、姉ちゃんの待つ頂上へ辿り着いた。
「こっち、こっち」
でも姉ちゃんは隣を叩いて催促してくる。
さすがにそれは恥ずかしい。彼女なら喜んで隣に座るが、誰がこんながさつな女の命令を聞いてやるものですか。
「早くしねーと屁浴びせるぞ」
「降りていい?」
「脅しだと思ってんな。だったらしてやる」
尻を上げる姉ちゃんを情けなく思いながら、仕方なく隣まで移動する。
だが、健気に言われた通りにした弟に、姉は容赦なく尻を向けた。
¨ぶぅう〜〜¨
この人、冗談抜きで最悪なんですけど。色々と酷過ぎる。
「さっさと来ないからだ」
「臭っせー!お前、ここから落ちろ!」
わざわざ、こんな悪臭を浴びせる為に・・・俺をあんな起こし方したのか。
そう思うと仕返ししたくなってきて、姉ちゃんの肩を押す。
「ちょ、馬鹿、落ちるって。やめろよ!」
「落ちて頭を打って大人しくなれ。その性格はそのままじゃ一生治らないから、ショック療法だ!!」
何やってんだろ、俺達。
子供の遊び場でじゃれ合うなんて、高1と中3の姉弟が冬休みの朝っぱらからやる事じゃない。
「もー、すぐむきになるんだから信之介は。気が短すぎ」
「誰のせいだ!」
すると姉ちゃんは俺の頭をぽんぽん、と叩いた。