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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その七-4

??――??

 奉仕者……。
 光の教団において重大な罪を犯したものが陥る身分。教団に身を置くマリアも耳にしたことがある。
 神殿建設の場において、奉仕者は物を言うことすら許されず、ただ黙々と作業に従事している。
 力尽き、倒れる者には容赦なく鞭が振るわれ、それに耐え切れなくなったものから処置室と呼ばれる部屋へ運ばれる。中で一体どのような行為が行われているのかは、そこから帰ってきた者がいないことから容易に想像ができる。
「どうぞ、お水を……」
 奉仕者達にひしゃくを渡し、カメが空になれば汲みに行くのが彼女の仕事。
 比較的楽な部類の仕事に就けたことに安堵する一方、目の前では明らかなオーバーワークと言える労働に従事する者に胸が痛む。
 不惑を迎えたであろう中年女性は、掘り起こされた土砂を肩に背負い、何度もマリアの前を行き来する。
 水を与えることしかできないマリアは彼女から恨めしそうな目で睨まれ、唾を吐かれる。
 中年女性の気持ちがわかる。けれど、自分もまたその過酷な労働に従事したくはない。ならばせめて妬まれる程度は覚悟しようと、今日も水を運んでいた。

 そんな折、二人の青年がよく来るようになった。
 彼の名はヘンリー・ラインハルト。ラインハット地方の領主と同じ姓であり、雰囲気も他の奉仕者とは違って気品がある。
 労働をしているようには見えず、気付くとどこにも居らず、気付くとそこにいるという、神出鬼没な存在だった。
 もう一人はリョカ・ハイヴァニア。あまり聞きなれない名前で、雰囲気はヘンリーに比べて真面目そう。魔法の素養があるらしく、他の奉仕者が怪我をしたり、病に冒されたとき、治癒を試みていた。それが本当に親切かはこの際おいておく。
 およそ年齢も近いことからか、彼らが来るとマリアも心が和む。本当なら今頃、自分も彼らぐらいの年頃の男と恋をしているはずなのだ。

 控えめな青年は挨拶のたびに何か話したりない様子でマリアを見つめ、彼女が見返すと照れくさそうに視線を離し、何か用事を思い出したふりをしてさっていく。
 対し、自信に満ち溢れた青年は水汲み場に現れて、拒む暇もくれずに唇を奪っていった。
 伴侶とするならば前者。恋人にするのなら後者。
 値踏みをするつもりはないし、その意味もない。ここを出られる希望が無い以上、二人のどちらかを望むことに意味はない。
 それでもそんな妄想を抱くのは、他にすることが無いから。
 希望とは程遠い、一睡の夢に過ぎない……。


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