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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その六 別れ-5

「くっ、多勢に無勢と甘くみていたか……、だが!」
 それでもヘンリーは諦めることなく、儀礼用の剣を構えて切りかかる。
「はっ! 玉砕か? 手間が省けるぜ!」
「やあぁぁぁぁっ!!」
 無謀とも思えるヘンリーの突撃。ラマダは長椅子を振りかぶり、それを迎え撃つ。
「あばよ!」
 ラマダの長椅子が彼を捉えた、その刹那、例の風刃が現れ、それを途中から砕く。
「でやぁ!」
 斜めに切り裂く一撃。儀礼用の剣のせいか切れ味は鈍いが、怯ませる程度の一撃ではあった。
「はっ!」
 それを見逃さず、リョカは昆を振りかぶる。めちゃくちゃになった足場のなか、ラマダに振り下ろされる昆。左右の石突から繰り出されるそれは、まさに無数というに相応しく、その肉体を打ちのめす。
「ぐっ、雑魚が、人間ごときが!」
「人間ごとき、舐めないでください……」
 がら空きの背中を切り裂くオットーの短刀。
 力任せに長椅子を振り切り、リョカを追い払う。新たに長椅子を拾い上げるが、黒煙はさらに勢いを増し、ラマダの視界を曇らせる。
「ぐおおおおおお!!」
 力任せに椅子を振り回すラマダ。一瞬、彼の死角から鞭が放たれる。
「そこかぁ!!」
 首に巻きつく鞭を力任せに引き寄せ、そのまま椅子に突き刺す。
「ぐふぅ!!」
 確かな手ごたえと、降り注ぐ鮮血。ラマダはようやくの手ごたえににやりと笑う。
「らま、だ……様……」
 黒煙の揺らめきな合間から見えたもの。それは女中姿の手下であり、腕には鞭の片方が結び付けられている。
「この役立たずめ!」
 ラマダは滴る血で滑る椅子を無造作に投げ捨てる。
「どこだ、出て来い! ガキ共が!」
「ふん、そう言われてほいほい出てくる馬鹿がいると思うか? 俺達は一足先に撤退させてもらおう。お前はせいぜいそこでローストにでもなるといい。ふはははは……」
 遠ざかるヘンリーの声。周囲からは気配が消えており、呻く兵の声すら聞こえない。
「な、なんだと? いつのまに……」
 閉じ込めるつもりが逆に閉じ込められたと感じたラマダは一つ目をきょろきょろさせ、狭まる視界の中で必死に人影を探す。しかし、あるものといえば、惨めに蠢く女中の半身のみ。
「ぐ、くそー!!!」
 ラマダは怒りに任せて壁に体当たりをすると、そのまま教会の外へと抜け出す。
「どこだ! まだ遠くへは行っていないだろ! 出て来い!」
 叫ぶラマダだが、周囲にはアルミナの命令で入り口を見張っていた兵士しかいない。その兵士すら、突然現れた魔物の姿に驚き、そのままちりぢりになって逃げていく。
「ふん、俺ならここに居る」
 背後からの声に振り返る。すると、今しがたラマダが開けた大穴から咳き込みながら出てくるヘンリーの姿があった。煤に塗れた黒い顔。咳き込み、涙目になりながらも、その表情は勝利に満ちていた。
「な、どうやって……」
「それを知ってどうする? まあ、教えてやらんことも無いがな……」
「ぐぐぅ、舐めやがって……!!」
 外に出たことで、さらに正体を見せてしまったことで形勢はすでにヘンリーに傾いている。それは近づいてくる兵士の足音が確信させ、ラマダを窮地に立たせる。
「くそお! イオ! イオラ!」
 無詠唱の爆発呪文を唱えるラマダ。巻き起こる砂煙に怯むヘンリー達。続く二撃目に供え、皆距離を置く。しかし、砂煙が不自然な風に晴れる頃にはラマダの姿はなく、流れた血が点々と森へ続いていた。


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