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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その六 別れ-6

**――**

 森へ逃げたラマダは必死に精霊を集め、魔法による擬態をする。とはいえ大きく切り裂かれた傷口を隠すことはできず、ヘンリー達の目をくらますことはできない。
「ここに居たか……。ラインハットは返してもらうぞ?」
 満身創痍で見つかったラマダに、ヘンリーは剣を構える。
「くくく、一足遅かったな……」
 しかし、ラマダは不敵に笑う。
 一度外へ出てしまい、擬態が終わればラマダもまたアルミナであり、王の母。それを襲うアルベルト達は、賊といってしかるべきもの。
 教会の火の手に気付いた兵士達が集まり始め、さらに血だらけで発見された太閤に息を飲む。
「……アルベルト殿、これはどういうことですか!?」
 たとえ英雄であったとして、年老いた女性に鞭を振るうなどと赦されざる行為。元々出自も怪しいアルベルトに対しての疑惑は高まり、事情を知らない兵士達はアルミナを守るように立ちふさがる。
「退け! その女はアルミナではない! 魔物だ! 正体を見せろ!」
 アルベルトの声に一瞬たじろぐ兵士。
「何を言っている! 騙されるな! こやつはわらわに剣を向けた、謀反者ぞよ! この国を、ラインハットを乗っ取るつもりなのじゃ!」
 必死に喚くアルミナの言葉に聞く耳を持つものは居るのだろうか? 戦争を終結させた英雄と、国を荒廃させた悪女。兵士の何人かはアルベルトに向ける矛を下ろしてしまう。
「この裏切り者!」
 その気配を察してなのか、一人の兵士がヘンリーに切りかかる。鞭しか持たぬヘンリーはそれを受けることができないが、一瞬はやくリョカが鋼の昆で受ける。
「くぅ……」
 どうやらこの兵士もあの侍女と同じく魔物の類らしく、その腕力はリョカでも五分。
「切れ、切れ! この者達を切れ!」
 アルミナは傷を庇いながら立ち上がり、兵士に守られながら修羅場を後にしようとする。
「待て! 貴様らそいつがしたことを忘れたのか!? そいつはこの東国を戦火に晒したのだぞ! 今、そいつを斬ることこそが大儀だと何故わからん!」
 アルミナを追おうとするヘンリーだが、兵士達に振るう鞭もない。彼らがヘンリーに剣を向けないのと同じように。
 だが、そうしている間も人の皮を被った魔物兵が応援に駆けつけているらしく、三人を囲む人員が増えていた。
「くっ、貴様ら、何故わからない……」
「アルベルト殿、申し訳ありません……。我々とて家族がおりますゆえ……」
 その言葉にヘンリーは唇を噛む。魔物は論外としても兵の中には質を取られているものがいるのだろう。
 アルミナ打倒に重きを置きすぎた。三年前の出来事を考えれば教団内に魔物が多数居ることは周知のことであったと、ヘンリーは自らの甘さを噛み締める。
「……そこまでです……」
 ヘンリーが覚悟を決めた時、懐かしい声がした。三人を取り囲む兵士達がその声に包囲を解き、声の方へ振り返り、跪く。
「お前、デール……」
 三年前と比べるとかなりやせ細ったデールが、その青白い、頬のこけた顔で笑顔を浮かべてやってくる。
「兄さん、人が悪いですよ……。帰ってきたくせに僕に黙ってるなんて……」
 その隣にはトムに連れられた女性が一人。遠目にもその美しさがわかるが、肌には赤みがあり、髪もぼさぼさで、目の焦点がぶれている。一方、兵士に囲まれた傷だらけのアルミナもまた蒼白になり始める。
「皆のもの、聞いてください……。そのアルミナはニセモノです……。本当のアルミナは、城の地下に閉じ込められていました。今日、ようやく偽アルミナの監視を逃れて助けることができました……」
「なっ、何をいっているの? デール、私の可愛いデールや、母を、母を助けてはくれないのですか?」
 必死に繕うラマダだが、突如現れた二人のアルミナに兵士は困惑を強める。もっとも、常人なら絶命せずとも息絶え絶えになりかねない傷を背負って歩き回る偽アルミナに対する疑惑の目のほうが強くなる。
「貴方は母じゃない。一体だれなんですか?」
 デールの確信に満ちた問いかけに、兵士達も状況を感じ始め、次第に護衛の輪が薄れ、人外と思しき兵士のみが彼女を守る形となる。
「さて、こんどこそ逆転は無理だな……」
 ヘンリーは傍に居た兵士から剣を奪い、アルミナに詰め寄る。
「貴様らの教義では死んだ後も光の国で生きていけるのだろう? 一足さきにそこへ行くといい。俺が送ってやる」
 ヘンリーは偽アルミナに向かって剣を振り下ろした。
「ぐぎょぇえええ……!!」
 あの巨体の怪物にしては呆気なく事切れ、それを守ろうとしていた兵士達も顔を見合わせ、われ先にとその躯に剣を突き立てる。
 哀れ偽アルミナは味方と思しき者からも見捨てられ、果てることとなった……。


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