異界幻想 断章-18
「これが、君の本当の顔か……」
思わず、ジュリアスは呟いた。
「今までの相手は、ずいぶんもったいない真似をしていたんだな」
やおらフラウを抱き締め、顔中に口づける。
「綺麗だ。フラウ……」
自分が木偶人形から感情を持った一人の人間となった事に思考がついてきていないフラウは、ただジュリアスのキスを受け止めていた。
だがしかし、人間となった事による心のほころびが、顔中に降らされるキスによって露になる。
「あ……」
ずっと抑圧されてきた感情は、すぐに暴発した。
目の前の人物が降らせる唇へ、感情的にむしゃぶりつく。
「!」
驚いたジュリアスだが、ただちにキスへ応える。
二人は、互いの唇を貪り合った。
「俺は今から、一人の人間としての君を抱く。ついて来れるな?」
フラウの顔に、薄い笑みが浮かぶ。
「……はい」
それは、初めての経験だった。
フラウを玩具として扱ってきた男達は、彼女を蹂躙するのが目的だった。
しかしジュリアスのそれは、ゆっくりとフラウを慈しむ。
今まで受けてきた惨い仕打ちを帳消しにしても惜しくないくらい、優しく心地いい愛撫だった。
「あっ、あ……!」
反り返った肉棒を優しく掴まれると、フラウの腰が大きく跳ねた。
「……こんな所まで、傷つけられたのか」
薄い皮膚に刻まれた無数の傷痕に、ジュリアスは眉をしかめる。
「はい……とある方は血が噴き出す所をたいそう面白がられて、何本も針を」
「痛いから説明しないでいい」
他にも根本を縛られて射精できないようにされた上での快楽責めとか娼婦を雇い入れてフラウをサンドイッチにするとか、想像するだけで不愉快な事が行われていたのだろう。
「可哀相に……」
ジュリアスは、傷痕に舌先を這わせ始める。
「あっ……!」
ぴくん、とフラウは震える。
舌と唇は突起の先端まで到達すると、亀頭を咥えた。
頬をすぼめ、ゆっくり顔を上下させ始める。
「っん、あ、あぁ……っ!」
男の部分を愛撫しながら、その下の女の部分に指を滑らせる。
触っただけで感じたのは、普通の女と形は変わらないという事だけだ。
十分に濡れている秘唇の中へ、指を潜り込ませていく。
「は、あっ……!」
フラウの声が、艶めきを増した。
関節を曲げて上壁を刺激しつつ、体の奥から蜜を掻き出す。
その間、ジュリアスの口が休まる事はない。
「ジュリアス様っ、ジュリアス様ぁ!」
腰がくねって、フラウの限界を知らせた。
ちゅぽ、と小気味いい音を立てて肉棒から唇が離れた。
「どうした?」
目を微笑ませ、指先で粘液の滲出口を撫でながらジュリアスは問う。
「お手が……お手が、汚れてしまいます……」
切ない息をつきながら、フラウはそれだけ伝える。
「いいよ。汚して」
言って、ジュリアスは勃起を扱き上げる。
「あっ、ああ……!」
フラウは堪らず、大きく腰を反らせて精を放出した。
吐き出された代物は、ジュリアスの頬や肩にへばり付く。
「すごい勢い。よっぽどよかったんだね」
ジュリアスはくすくす笑うと、亀頭に唇を付けた。
「ん」
尿道の中に残っていた白濁液を吸い出すと、優しく肉棒を弾く。