転校生はカリ太-1
女担任の陰にいるのは今朝方の眼鏡男子！！
極度の人見知りなのか…。
子供のように女担任の背中に隠れこっち側をチラチラと見てやがる。
「あっ！おまっ！」
アタシはそんな眼鏡男子に危うく声を上げそうになっちまう。
オドオドヤローは幸いにもアタシの事に気がついていないが…。
隣の席の眼鏡女子、姫島麗美がチラッと睨んできやがった。
この姫島麗美…黒髪ロングのストレートでアタシよりかは少し可愛い程度だが。
勉強ではアタシの下だ。
…のクセにやたらとアタシと張り合ってきやがる。
周りではアタシが麗美に何かと突っ掛かっているように見えるらしく。
それもまた癪な話だが。
とまぁ…そんな麗美のヤツがジロッと睨んでいやがるからアタシは。
あげかけた『おまえは！？』を誤魔化す為に…。
「おまっ…おま…おまんこしてぇなぁ」
ヤベッ！！誤魔化しついでに本音が出ちまった。
くぅぅぅ！麗美のヤツ！
『私はやりまくってるのに…惨めねぇ』
ってような顔で憐れみの笑みを浮かべてやがる。
くそぉ…文句のひとつも言ってやりたいが。
眼鏡男子に気づかれても不味いし、ここは我慢だ。
我慢のマンはまんこのマン。
アタシは麗美の冷笑には気づかないフリを決め込み顔を隠すように俯き。
様子を伺うように女担任と眼鏡男子の方を見るアタシ。
「今日は皆さんに転校生を紹介します」
自分の陰に隠れるようにしている眼鏡男子を引っ張り出そうとしている女担任。
て…転校生！？んであの制服かぁ！
ちなみにこの女担任、名前は小笠原裕子。
いつも纏めた髪に黒縁眼鏡、タイトスカートにブレザーといかにもキツい教師然とした感じだ。
年の頃はもう中年だが目鼻立ちのハッキリした顔立ちで化粧も濃い。
学校中の男子を食ってるって噂だ。
まぁそんな噂に信憑性をもたらすくらいに色気はあるようだが。
アタシにしてみれば『フンッ！！』って感じだ。
ちなみに乳とケツもやたらとデカくて。
アタシはホルスタインって呼んでいるぞ。
そしてウジウジの眼鏡男子に業を煮やしたホルスタイン。
力任せに眼鏡男子を引っ張りだし。
「自己紹介しなさい！」
ピシャッと言ってのけてやがる。
まぁ…この辺の気の強さはアタシに通じるトコもあるな。
して…。
「あ…あっ…あの…あの」
おっ！眼鏡男子が話し出しやがったが。
すげぇーウジウジくんだなぁ。
こりゃ…アタシに気がついても何の問題もないじゃねーか？
気づいてもガンを飛ばせば黙らせそうだぞ。
アタシはこそこそとするのは止め…椅子にふんぞり返って眼鏡男子を見つめてやった。
「こ…こ…こん…今度…てん…てん…転校…して」
直立不動で面白いくらい上ずった声を上げてる眼鏡男子。
あのヤロー…アタシの事なんか全然、目に入ってねーぞ。
…てか、なんも見えてねーんじゃなねぇか？
いじめ甲斐のありそうなヤツだ。
腹黒の笑みを浮かべるアタシ。