転校生はカリ太-2
「か…か…かり…刈野…太って…言います」
やっと終わった自己紹介。
けど…刈野太…カリが太。
カリぶとちんぽ。
「くくくくっ…」
アタシは朝の事を思い出してついつい不気味な笑いを漏らしちまう。
そんなアタシを軽蔑したような眼差しでジロリと睨む麗美。
『ふんっ!アタシャ…あいつのカリぶとちんぽ握ってんだよ!』
さすがにこれは声に出しては言えないが。
心の中で勝ち誇り、麗美にガンをくれ返してやる。
「フンッ!」
おっ!ハッキリと不機嫌そうに鼻を鳴らした麗美。
プィと顔を背けやがった。
まぁ…いいだろう。
注意をカリ太(ぶと)ちんぽの方に戻すアタシ。
ちなみにアタシはもぅこの転校生を『カリ太ちんぽ』って呼ぶ事に決めちまった。
いやぁぁ…我ながらナイスなネーミングだ。
なんて自画自賛していると…。
ホルスタインに促されて端からクラスのヤツらが自己紹介を始めた。
ちっ!めんどくせーな。
アタシはもうバレるとかはどうでもよくて。
ただ…ただ…面倒臭く思いながら自分の番を待ってやった。
が…カリ太ちんぽのヤツ。
立ったままテンパった目で口をパクパクさせてやがる。
ありゃ…なんも見えてねぇし。
なんも聞こえてねぇーな。
ってか、そのうち卒倒すんじゃねーか!?
なんて心配する訳でもなく、ただ考えてるとついにアタシの番が廻ってきやがった。
「鬼頭好美だ!」
アタシは立つのもめんどーなので座ったまま、それだけ言って済ました。
案の定…カリ太ちんぽはアタシの事も見えてねぇ。
「姫島麗美って言います。趣味は音楽鑑賞、特技はお料理ね…」
麗美のヤツ…立ち上がってベラベラ喋り始めやがった。
「けっ!!」
アタシはこれ見よがしの短い声で。
まだグダグダと続けようとしている麗美のセリフをぶった切ってやった。
「あぁ!?」
片眉をしかめた麗美が輩気質丸出しでガンくれてきやがる。
「ぁんだ!?こらっ!!」
同じように顔をしかめたアタシ。
座ったまま渾身のガンをくれ返してやる。
アタシらの一触即発の雰囲気。
さすがのカリ太ちんぽも気がついたようだ。
「ひぃぃぃ!」
腰抜けぶり全開でホルスタインの陰に隠れるカリ太ちんぽ。
「あんたら!いい加減にしなさい!」
教壇の横で仁王立ちになったホルスタイン。
低音だがよく通る声で怒鳴り散らしてきやがる。
麗美のヤツは…。
「す…すみません」
こんなトコでもいい子を演じやがって、大人しく席に着きやがった。
アタシとしてもホルスタインに刃向かうのはあまり得策とは言えない。
憮然として麗美の方から目を離し前をジッと睨んでやる。