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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その四 ラインハットへの帰還-11

「このまま本当にあっという間に統一しそうね……」
「ああ、そのようだな。不服か?」
「ええ」
 そう言ってコールするが結果はバースト。カードを没収され、舌を打つエマ。
「そういえば、貴様の目的は俺を僕にすることだったか? すまんな、その範疇に留まる器じゃなくて……」
「僕じゃなくても王者になれるのであればそれでいいわ」
「ふむ。前から気になっていたが、エルフが人間の王者に何を求める?」
「別に? なんでもいいじゃない」
「何か理由があってだろう? 話してみないか?」
「貴方が王者になれば必然的にそうなるわ」
 取り付く島も見せないエマにアルベルトはふっと笑う。
「俺はお前の特殊な能力……、禁魔法の類だが、それを買っている。素直に理由を話してくれれば、内容如何によっては便宜を図る。それほど悪いことではないと思うがな……」
 アルベルトの一枚目は七。もう一枚がジャックで合計は十七。親の縛りで交換不能だが、エマはその言葉を挑発と取ってか、果敢にコールを挑んでまたもバースト。
「ま、大体予想はつくがな……」
「ふん」
 余裕綽綽のアルベルトは椅子の背もたれ一杯にふんぞり返り、エマはテーブルに差し出された互いのカードを見つめ、前のめりになっていた。

++――++

 レイクバニアを失い、グランバニアの後ろ盾を拒否したブランカ国。ここ一ヶ月の進軍でブランカ国の領土はかつての二割以下となり、民衆の中には国を捨てて逃げ出す者が増え始めた。
 アルベルトはその政情不安を煽る一方で、本国や隣国、占領地に噂を流し始めていた。
 英雄の誕生。東国を平定に導き、大陸を統一。サラボナやテルパドールなどの経済大国に負けぬラインハルト大国を形成する。
 戦乱の世に現れ、勝利で大陸を凱旋する英雄。それがアルベルト・アインス……と。そしてもう一つ、ヘンリー第一王子の帰還の噂。
 アルベルトは既に次の段階に歩を進めるため、動いていた。
 だが、残すところブランカ城下町となり、アルベルトは一気に制圧に動くかと思いきや、ここで再びその手を止める。
 ブランカ国は円環状に城下町を形成しており、城の中枢を攻め落とすには市街地戦を強いられる。民に守られる形の建設に、アルベルトは苛立ちを感じていた。
「で、今度はどうするの? 魔法がどうのとかいうレベルじゃないのは私でもわかるけど……」
 紙袋を持って現れたエマは、揚げたての香ばしいドーナツを食べていた。
「ふむ、美味そうだな」
 アルベルトはひょいと手を伸ばし、それを口にする。
「あ、ちょっと! 誰もあげるなんて!」
 エマが手を伸ばすも既に一口齧られたところ。
「もう、三ゴールドよ」
「ふむ……」
 手を差し出すエマを無視し、アルベルトは何か感慨深そうにそれを見る。
「ちょっと、アルベルト?」
「よし、いいことを考えた。次の作戦はこれだな」
 アルベルトは齧ったわっかを眺めながら、次の作戦を夢想していた。自然と三ゴールドのことは流しつつ……。

 ブランカ城下町陥落作戦「ドーナツ」。
 城下町近くにて簡易の砦郡にて包囲を固め、水面下で重臣の切り崩しを行い、陸路・水路の断絶による兵糧攻め、投降する難民の受け入れなどで吸い上げを行っている。
 ドーナツのように内側を空洞にするというものだった。

??――??

 ラインハルト国へ伝令の任を受けたミハエルは、その馬上で苛立ちを隠せずにいた。
 本来なら東夷隊第一部隊隊長がこなす雑務ではないのだが、その任を解かれた今、下士官的な扱いに甘んじていた。


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