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『再びの夢七夕』
【ファンタジー 官能小説】

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『再びの夢七夕』-9

5.再びの夢七夕



今年も昨年のような夢七夕が味わえると、私はそれまで固く信じていました。

 でもあの出来事があった日から、私は不安で不安でたまりません。

 そうあの出来事とは、今年3月11日にあった東日本大地震とそれによる大津波です。

 

 去年の夢七夕の日ディナーを御馳走になりながら、私たちは七夕の話で盛り上がりました。

 そのとき私の彦星様は、今自分は盛大に七夕祭りが行われる地方の大都市に、単身赴任して住んでいるとおっしゃったのです。

 豪華な七夕飾りと人の賑わいを、それはそれは楽しそうにお話してくださるのを、私は子どものように目を輝かせてお聞きしていました。

 その折に、海に近いところにいらっしゃるようにも、伺った気がするのです。

 だからとても不安で、いても立ってもいられなくなってくるのです。

 私は彦星様の、本当のお名前も、住所も、電話番号もわかりません。

 唯一、私のために作ったといわれていたフリーメールのアドレスだけを、知っているのです。

でも、ルールでお別れしなければならなくなるので、メールすることはできません。

ですから、ただひたすら七夕の前日に、私の彦星様からメールが届くのを待つほか、どうしようもないのです。



七夕の前日は、もう片手だけで指折り数えることができるほどに、迫ってきています。

今私は、弾が2発だけ残っているロシアンルーレットの拳銃を、こめかみに当て引き金に指をかけているような気持で、毎日を過ごしています。





                      完


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