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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-2

『研修旅行二日目の朝――最悪の気分だ。部屋割りの変更を要求ス』



もし、今回の旅行に日記をつける義務があったなら、私はこう記したはずだ。

いや、なにが最悪って、まず、くそったれ委員長にたたき起こされたこと。

加えて、だ。このクソ女――昨日の消灯時には、たしかに落ち込んでいたはずなんだ。同じ班である男子、我が鐘状学園高等部が誇る前代未聞空前絶後の超絶奇人、岐島仙山の手にかかってな。

……なのにだぞ?一晩寝かせたら、なんで復活してんの?

おせっかいにも、私の寝具まで三つ折にして部屋の隅に寄せている林田をジトリと睨んだ。

誰だよ、昨日の林田の様子が「居たたまれない」とかいったヤツは?

(復活にはまだ遠いようだ)とか思ったバカはっ!

………………いや、私だけどサ。

もう一度、朝に似つかわしくない重たい溜め息を「はああぁぁ……」と吐き出した薄幸な私。

すると、そんな私へ林田は、温かあ〜い声をかけてきてくれた。



「なにしてるんですっ!ちゃっちゃと着替えて、せっかくの自由時間です。お風呂に行きましょう!人も少ないでしょうし、気持ちいいですよ、きっと!これぞ、旅の醍醐味!早起きは三文の得ですね!」



他人を叩き起こしてまで行くのは温泉でもなんでもない大浴場とは、なんとありがたいことだろう。

――いっぺん、殴ったろか?マジで。

私は、衝動的な殺意に身を任せたくて仕方がなくなった。





「――ぅおっ!岐島っ?」



強制連行された朝風呂上り。

実は風呂好き委員長と、体育会系のためか、なんとか朝風呂にも耐える巨女を置いて、逸早く大浴場を出た私の目に止まったのは、黒々とした艶やかな長髪が特徴のソファーに座る人影。

噂の歩く奇天烈大百科、岐島仙山である。

能面のような白痴美、身長は百八十と少し、学力はトップクラスながらも、極めて素行不良…………表現するのに本当に苦労する男だ。

けど、いい表現方法があった。この前、思いついたのである。

まず、世の中の『普通の高校一年生』というものの特長を箇条書きにする。

その箇条書きのうち、性別以外が当てはまらない男――それが、岐島という男なのである!




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