完・スキだよリュウイチ-7
『あっ、うああ、ああああぁあ、ああああっ!!』
リリスの体が仰け反って、胸の中心か光を放っている。
なんだ、これは。この反応は一体何なんだ・・・!?
「リリス、大丈夫か?!」
『あついよぉぉぉぉ!せ、背中、破裂しちゃうぅぅっ!!』
リリスの肩から、紫色の腕の様な突起が生えてきた。
突然の変化に呆然としている俺をよそに、その腕はどんどん伸びていく。
腕の途中から更に細い腕の様なものが生えてきて、下の方に向かって伸びていった。
そして、その紫色の腕と腕の間に無数の糸が生えてきて、いくつも重なり、やがて赤みを帯びた膜となった。
そこでようやく、羽根が生えてきたと分かった。
もう片方からも同様に腕みたいな突起が生えてきて、みるみるうちに羽根を形作っていく−
『はあっ・・・はぁ、はぁはぁ・・・ふう、はぁ、うぅん・・・はぁ』
羽根が生えてくるのに気をとられていて、髪の色や長さが変わった事もすぐには気付かなかった。
伸びた髪は金色に染まり、胸元まで垂れている。
『わあ、すごーい。私、大人になっちゃった!』
リリスは嬉しそうに立ち上がり、背中の羽根をパタパタとはばたかせた。
尻のすぐ上からは羽根とお揃いの色の、先が矢印みたいに尖った触手が生えている。
あれは・・・もしかして尻尾だろうか。
『やったなリリス、ついに成人のサキュバスになれたんだ!』
変化、いや進化といった方が正しいか。
それを見守っていたラウムが嬉しそうにリリスの周りを飛び回っている。
だよ、な・・・嬉しいよな。目的が達成出来たんだから、喜んでいいはずだ。
ベッドから降りたリリスは、やけに天井に近づいてる様に見える。
そうか、大人になったんだもんな。身長だって伸びるはずだ。
元からあまり大きくなかったせいか高くはないが、俺と差が結構縮まっただろう。
心なしか顔付きも、黒髪の時より大人っぽくなっている気がした。
俺のよく知っている姿のリリスはもう此処にはいないんだ−
『今までありがとう。隆一のおかげでちゃんと一人前になれたよ』
「よ、良かったじゃねえか」
『本当にどうなるか不安だったけど、まさかこうして成人の姿を見られるなんてね』
ラウムは喜んでいるが、リリスは何も言わない。
目を合わせてくれないのは、俺と同じ気持ちだからか・・・?
『ねえ、隆一』
「ん?ああ、なんだ」
と思ったら、話し掛けてきた。
すっかり大人になってしまったので、面と向かって話すと別人に見える。
『・・・・・・ありがとう』
「えっ?」
リリスは微笑んだ。
そして、頬に触れて、唇を重ねてきた。
「う・・・っ」
途端に目蓋が重くなって、膝をついてしまった。
確か前にも同じ様な事があった・・・はず・・・
『ごめん、こうしないと、我慢できないかもしれないから』
リリスの震える声が耳に入ってきたが、返事出来なかった。