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熱帯夜
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二日目-2

*****


俺の今日…、とりあえず朝起きたとこまでは偉かったよな。でもそこから先がダメだった。
設定温度28度のひんやりした室内からは一歩も出る気は起きず、トイレすらめんどくさく思えるほどその場から動かなかった。お腹が空いても食べ物を探す気にもなれない。夜寝られなかったせいで朝からただただ眠り続けていると、外からは市の設置したスピーカーが18:00を知らせる音楽を鳴らし始めた。

母さんが口うるさくエアコンをつけっぱなしにするなと言うのは電気代や環境を心配してるんじゃなく、俺が駄目人間になるって分かってるからだったんだ…


ピンポーン


室内にインターホンの甲高い音が鳴り響いた。
誰だ?
めんどくさ。
無視しよ。


ピンポーン


二回目。
まぁいいや、三回目が鳴ったら――…


ピンポーン


鳴るんかい!

重い頭を持ち上げて、仕方なく部屋から出た。
ドアを開けると部屋に入り込んできた熱い空気に押し返されそうになる。

これだから部屋から出たくなかったんだ。

どすどすとわざと派手な足音をたてて、不機嫌を演出しながら玄関のドアを乱暴に開けた。

「どちら様―?」
「きゃっ!?」

予想外に可愛らしい声。
てっきりセールスか宗教団体のおばさんかと思っ…、

「あ」
「あ」

お互い顔を見合わせて同じ言葉を漏らした。声の主は今朝からずっと気にしてたお隣りのお姉さんだった。

「お姉さん!どうしたんで――!?」

次の瞬間、俺はお姉さんに無理矢理家の中に押し込められた。
え?
え?
何?

事態が把握できてない俺に、お姉さんは説教口調で話し出す。

「外に出ちゃ駄目でしょ!自分の立場分かってるの!?」
「へ…」
「近所の人に見つかったらどうすんの」
「あ、あー、そっか。そーゆう事ね」

なんだ、この人まだ昨日の嘘信じてたんだ。


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