4・バカなんて大キライ-3
「・・・リリス・・・」
しばらく粘ってみたが、リリスは出てこない。
ラウムも心配そうに箱を叩いたりして接触しようとしていたけど、諦めてしまった。
『隆一、今夜は床で寝るよ』
「枕貸してやるって。俺は腕を代わりにするから」
明日以降どうなるんだろう。
リリスはずっと食わないって訳にもいかないし、夢の中に入り込んでくる。
・・・でも、もしかしたら箱に入ったままかもしれない。
何でちゃんと話してやらなかったんだ。
こんな事になるんだったら、リリスの寂しさをちゃんと受けとめていれば・・・・・
『隆一』
「うわっ?!」
『ひゃっ!り、リリス?!』
もう2度と開かないと思っていたピンクの箱が開き、リリスが顔だけ出した。
白目の部分が赤くなっており、よく聞くと鼻声だった。
一目見ただけでさっき迄泣いていたと分かる。
『・・・・・・』
自分から出てきたのに、リリスは何も言おうとしない。そして、俺も同様に頭の中で言葉がぐるぐる回っていた。
言えれば楽なのに、というかちゃんと言うべきところなのにどうしてだ。
俺の方こそやっぱりガキなんだろう・・・泣かせといて、黙りかよ。
「あ、あの・・・っ?!」
からからに渇いた喉から声を搾りだせたと思ったら、リリスの体が出てきた。
・・・何も身に付けていない、生まれたままの姿で・・・
『・・・エッチ、して。隆一』
ベッドの上で膝をついて、とても小さな声でそう呟いた。
腹が減ったから、だとかそういうつもりで誘ってるんじゃない。
・・・きっとリリスは、心から求めてるんだ。
俺を食糧としてではなく、おそらく、愛しい相手として。
入れ替わる様にラウムは箱に入り、静かに蓋を閉じた−
服が邪魔に感じて急いでネクタイを外し、乱暴にワイシャツやズボンを脱ぐ。
リリスと同じく裸になり、思い切り抱き締めた。
『・・・・・・隆一・・・』
「何も、言わなくていい」
帰りを待ってるのに、気付いてやれなくて・・・