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FULL MOON
【OL/お姉さん 官能小説】

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FULL MOON act5-4

「ひどいよ、いつも」

「……なにが」

伸太の背中に言う。

「伸太は私の気持ちは無視していつも相手のことばっか…」

「そんなことないだろ」

「そうだよ!今だって会いたくないのに会わせようとする!まだ心の整理もついてないのに!結局安西さんと高坂さんのためでしょ!」

「…………違うよ。そういうわけじゃない。確かにお前の気持ちは分かる。…だけどな、そういう所が結局損してるんだよ。オレはそんなお前を見るのはイヤだ」

「どーいうこと…?分かんないんだけど」

「いつか分かる。とにかく、お前の為だから」


そういうとスタスタ前を歩き始める。もう反抗しても怒られるだけだし…素直についていった。

お互い交わす言葉もなかったが少しだけ気持ちがおさまってる自分に気付いた。さっきの伸太の言葉が自分への優しさということだけはなんとなくわかったから。
嬉しくて悲しくて涙が滲んだ。

空を見上げると月が浮かんでいる。
月と星が空に無数の穴をあけていた。

(きれい…)

きれいなものをきれいと感じる自分の心持ちが一番好きだ。
でも今は苦いよ…。



少しするとお店が見えてくる。一階だけ明かりがぼんやりついていた。途端に暗い中一人安西さんを待たせたことを後悔する。

扉をあける。
暗かったからどこにいるんだろう…と探した。


「絵里ちゃん!!」


奥から、泣きはらした顔の安西さんが出てきた。

「あ、安西さん…」

泣いてたんだ。
なんで…。
私はなにも言えなかった。安西さんは戸惑いながら話す。

「絵里ちゃん…ごめんなさい。言わなきゃな、とは思ってたんだけど…まだ付き合って日が浅いから、お互い手探りで…絵里ちゃんが高坂さんのこと気になってるの知ってたから…。絵里ちゃんを傷付けたくないって思って…。考えてたんだけどよく分からなく…て……」

そこでまた安西さんは涙を流した。

安西さんは私が傷付かないでいられるように、たくさんたくさん考えていてくれたんだろう。

でも…でも二人を見て…
私は今までと同じような態度で接せられるかな。



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