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FULL MOON
【OL/お姉さん 官能小説】

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FULL MOON act5-3

「何があったんだよ」

彼はいつもぶっきらぼうに話す。怒ってるわけではないのは知ってるけど、怒鳴られると怖い。
手を引っ張られているうちに涙はとまった。あのあと怒鳴ったりはしない。


「私…高坂さんのこと好きだったんだ…」

「ああ…あんだけ騒いでればな、分かるよ」


(………そう見えたんだ)

恥ずかしくて拳をぎゅっと握る。また涙が流れそうになる。


「…そうなの。なのに…高坂さんと安西さん…付き合ったんだって。私バイトに行く前二人が駅でいるとこ見ちゃって…それでイライラしちゃって」

「そうか…お前さ、気づいてなかったのか?」

「なにが?」

「まぁ…高坂さん、分かりづらい人だから仕方ないけど…安西さんのこと好きそうなのは分かった」


…え。そうなのかな。そんなの全然分からなかった。分からなかったよ。
この間飲み会のとき送ってたのも安西さんだから?


………………。

「さっきからケータイ鳴ってるだろ」

「…安西さんだと思う。さっきキスマークついてるの見て悲しくて出てきちゃったから」

「じゃあまだもしかして安西さんは店にいんのか?とりあえず電話出ろ」

「…いや。何を話すの?私許せないよ」

「バカなこと言うな。安西さん帰れないだろ。とりあえず話すだけ話せって」

「イヤ!!!」


呆れる。伸太に駄々こねる自分。でも、どうしても素直になれない。子供だって分かってる。
恥ずかしいよ。

またケータイが鳴り始めた。それを彼は奪う。


「なにすん…!」

「もしもし。…室です。…はい。さっき駅で会って。はい。今一緒です。大丈夫です。安西さんは店で一人すか。そうなんですか…分かりました。今から行きます。…いや、こういうのは早くした方がいいんで。オレが連れてきます。はい。そんじゃ」


「ちょ、やだよ…行かないって言ってるじゃん!バイトだって辞める!!」

「ダメだ!…ほら行くぞ」


いつもこうだ。伸太は言い始めたらてこでも動かない。手を引っ張られる。私が今イヤだって言ったってただの駄々っ子みたい。

…だけど、私の気持ちは?私の気持ちは無視なの?



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