「楽園の追放」-1
「今日は私たちの他には誰もいない。だから安心していいんだよ」
にやけた顔で、こちらを向いた校長を前に舞は気付かれないよう溜息をついた。
期末試験前の土曜である今日は、どこの部活動も休みである。「安心していい」と校長は言ったが、それは逆に舞自身の身が危ういことの証明でもあった。
「さ、まずは身体検査からだ」
そう促されて舞は制服の白いリボンに手を掛けた。脱がされたことは何度もあるが、自分から制服を脱ぐのは恥辱を感じる。
「下着も残らず脱ぐんだよ」
それでも、この学校に通うには、──外の世界と繋がるにはコレしか残されていないのだ。
ファスナーを外しワンピースが地面に落ちる。ブラウスのボタンをひとつひとつ外す動作に、校長の喉がゴクリと鳴るのが聞こえた。
下着姿になった舞に校長は興奮を隠せない。
ストッキングを脱ぐと胸の谷間に強い視線を感じた。
──あぁ。
「見られている」という恥辱が舞の下着を濡らしていく。しかし、その下着も直ぐに脱がなくてはならない。
没収された下着が濡れているのに気付いた校長の顔を想像してしまい、舞は嫌悪に躯を震わせた。
「どうした?早くしなさい」
それでも、残された道はコレしかないのだ。舞は下着を取ると生まれたままの姿を校長に曝した。
「ほら、脱げたなら恥ずかしがらずに見せてみなさい」
校長に促され、舞は躯を隠していた手を退ける。
「……っ!」
遠慮の欠片もない視線を浴びて舞の躯が恥ずかしげにくねった。
「ふふっ。恥ずかしいのかね?」
校長が嬉しそうに舞の顎を掴む。
「男に抱かれて生きる淫乱の癖に」
その侮蔑の言葉に舞は耐えられず目を閉じた。
「まぁ、いい。今日はその淫乱な性根を叩き直してやる。着いてきなさい」
そう言うと校長は部屋を出る。
裸のまま舞は廊下を歩かされ気が狂いそうだった。廊下の窓にはカーテンはない。明るい日の光が舞の裸体を照らし、誰もいないと分かっていても強い羞恥を舞に与えた。
「この教室だったな」
そうして校長に連れてこられたのは、普段、舞が授業を受けている教室だった。
「さぁ、いつもの席に着きなさい。補習授業を始めよう」
校長が教壇に立つ。
慌てて椅子を引いた舞の目に信じられない光景が映った。