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何度でも貴方に囚われる
【調教 官能小説】

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ありふれた出会い-2

「っていうか、7時だけど、まだ学校」
「うん。」
「なんで?」
「なんでって…文学部のメンバーと遊んでるから」
受話器越しに純平の怒りを含んだ溜め息が聞こえる。
「…何?」
「侑子は俺とサークルどっちが大事なの?俺は遠恋で普段電話しか出来ないから、出来るだけ電話の時間作ってるんだけど」
「比べるものじゃないじゃん!純平のこと好きだし、大事だよ。だけど友達だって大事だし。電話だって毎日して…」
「もう、いい。今日は寝るわ。おやすみ」
侑子の言葉を遮って電話は切れた。無機質な音が耳に響く。
「もう…何よ…っ。」
電灯しかない暗い中庭で侑子は膝を抱えて俯いた。純平のいいたいことも分かる。けれど、自分だって間違ってはないはず。彼氏だって友達だって大事にしたい、彼を優先するけど彼のために友達の関係を犠牲にしたくない。
「それだけなのに…なんで分かってくれないのかな?」
思わず涙が零れた。携帯を握りしめ、一人まだ冷たいベンチの背に寄りかかった。泣き声を押し殺して…。
「あれ?」
不意に声をかけられ、侑子は慌ててバレないように袖で涙をぬぐった。顔をあげると自販機で買ったジュースを片手にのぞきこむ祐輔の姿が目に入る。
「栗原先輩…。」
「どうした?」
「あ、いえ…少し寝ちゃったみたい…です。」
「おいおい、こんなとこで寝たら風邪ひくよ。」
祐輔は明らかに泣いていたと分かる侑子の赤い目を見ながら、いつものように笑う。そして何事もなかったかのように急に、
「今、佳哉と二人で部室で飲んでんだけど、参加ね」
「え?」
「はい。三人で飲むよ〜。佳哉、侑子ちゃんも飲むって」
「やった!人増えた。」
「いや、あのっ…」
「栗原先輩、ビールでいいっすか?で、侑子ちゃんは何飲むよ?」
なかば強制的に連行された部室には同級生の佳哉もいて、いつの間にか侑子の手には缶チューハイが渡されていた。急な飲み会はレポートで徹夜だった佳哉が飲みたいと言い出したからだった。侑子は乗り気ではなかったが、三人での飲み会が始まった。乗り気でなかった侑子も、いつもの部室飲み会雰囲気と友達との会話に少し気持ちが軽くなってくるのが分かった。
10時をまわるころ徹夜だった佳哉はすっかり寝てしまっていた。
「なんだよ。佳哉、自分で飲みたいって言っといて、寝ちゃうなんてひどいよな」
「仕方ないですよ、徹夜ですから。お酒入ったら寝ちゃいますって。暖かくなってきたし、朝まで寝ちゃっても大丈夫ですよね?」
侑子は部室に置いてあった仮眠用の毛布を佳哉にかけた。侑子も大学に入ってからお酒を飲むようになったが、なかなか慣れない。身体がふわふわして、疲れていれば寝てしまう気持ちは良く分かる。
「佳哉くん寝ちゃったし、起こしちゃいけないんで、そろ…」
「だね〜。別のとこで飲み直すか」
「え?」
侑子が顔をあげると、祐輔はいつもの笑顔を崩さずこう続けた。
「俺んちでいいよね?」


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