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何度でも貴方に囚われる
【調教 官能小説】

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心の隙間と二人の秘密-1

なぜ誘い断らなかったのか…侑子は自分のとった行動が不思議でならなかった。自分には純平という恋人がいるのに、男性の家にあがるなんてと普段の侑子なら考えるのに、この日は何故か素直についてきてしまった。
純平との喧嘩か、それとも親とのことで悩んでいたからか、はたまたお酒のせいか…アルコールでぼやけた頭で迷いと言い訳がまわる。祐輔が明るく話しかけるのにも気付かず、侑子は葛藤やさっきの純平との電話を思いだし、うつむいたままだった。
「で、何があったの?」
「きゃっ?!…な、何がですか?」
急に祐輔が真剣な顔で侑子の顔を覗きこむ。侑子はいきなり至近距離で祐輔と目が合い、驚いて後ずさりしてしまった。背中には本棚があり、ぶつかった衝撃で上に積んであった本が一冊落ちた。祐輔はその本を拾い戻すと、侑子の目にかかる髪をそっとすくいあげるように、頬に手をすべらせる。
「目、赤くなってる」
「のっ、飲んだからだと、思います。あのっ…」
祐輔にじっと目を見つめられ、頬に伝わる手のぬくもりに戸惑い、侑子は目線を外す。
「泣いてたよね?」
「…」
「何があったか言ってみ?」
優しく涙のあとをたどるように頬を撫でる手と優しい声に促され、侑子は少しずつ話し始めた。親のこと、彼氏のこと…祐輔は静かに何も言わず聞いていた。侑子が喋り終えると、静かな時間が流れる。頬に添えられた祐輔の手が離れ、唐突に頭をなでられた。
「栗原先輩…?」
「侑ちゃんは頑張った。充分頑張ってるよ。」
「…っ」
侑子はとっさに目を閉じ、下を向いた。泣いてしまうのが分かったから。。一番言われたかった言葉をもらえた気がした。

侑子が下を向いていると、そのまま祐輔に抱き寄せられ、押し倒された。
侑子は祐輔の胸元に顔をうずめるようになり、侑子はあわてて起き上がろうともがく。
「大丈夫だから、見えないから泣きなよ」
強い力で抱きしめられ、また優しく頭を撫でられる。侑子は涙を止められず、そのまま祐輔の胸で泣いた。
ようやく落ち着いたころ、侑子はふっと香る祐輔の匂いにドキドキしながらも、自分が安心しているのを感じていた。泣き止んでも祐輔は侑子を離さず、侑子の長い髪に指を絡ませるように触る。
侑子は段々この状況に焦り始めた。よく考えてみれば、彼氏がいるのにも関わらず、他の男と二人きりになり、挙げ句に押し倒されて抱きしめら、それを受け入れてしまっているなんて良いわけがない。
「あのっ…私帰ります!」
侑子は祐輔の胸から顔をあげ、離れようとするが、祐輔の腕はがっちりと侑子を離さずに捕らえる。
「もう遅いし、朝送ってくよ。」
腕の力強さとはうってかわって、優しく飄々とした様子で、祐輔はとんでもない提案をした。
今でも問題だというのに、お泊まりだなんて侑子にとったらそんなの論外だ。
「大丈夫です。私、歩いて帰ります。」
「ここらへん治安悪いし、危ないから駄目だよ。はい、俺は床で寝るから、侑ちゃんはベッドね」
「いえ、先輩を床に寝かすなんて悪いです。本当に帰れますから…」
「遠慮しなくてもいいのに。じゃあ一緒に寝ようか?」
「はい?」
いまいち噛み合わない会話を強引に終わらせるように祐輔は侑子を抱き抱えてベッドに寝かせる。自分もその横に寝転ぶと、まるで抱き枕を抱えるように侑子の身体を引き寄せた。侑子は自分に起こっている事態に頭が真っ白になった。何故こんなおかしいことになっているのか。祐輔が考えていることもよく分からなかった。侑子にも恋人はいるが、祐輔にも彼女がいる。祐輔だってこんな状況は良くないはずだった。


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