初夏のすれ違い / コトバ編-12
「…マジでお前、マゾだな。
好きでもないヤツに犯されて、ひどい事言われて期待して、痛みで感じて、ケツでよがるってか?
…ほら、腰が動いてんじゃねーか…淫乱」
「そんなんじゃない…」
弱々しい声は、一応は否定する、というだけに聞こえる。
瞳が潤んでいるのは、嫌がっているのではなく、反対に高まってきているようにしか見えない。
「そうやって口ではキョヒってりゃいいよ。
俺はカラダに聞いてみるから」
そう言うと、荒々しい気持ちを全開にして、首すじに噛みついた。
歯を立て、そこにびくつく舌を押しつけると、皮膚の下の動悸がドクドク速くなったのが分かった。
片手で手首を固定したまま、肩や胸を甘噛みし、舐めまわす。
亜紀子はそれまで声を漏らすのを我慢していたようだが、乳首をカリッとすると、とうとう甘い悲鳴をあげた。
「…ひっ、あぁんっ!」
「やっぱり感じてんだな、お前…」
「ちがっ、やめ、…っあ!」
「はっ、俺が何回お前とヤッたと思ってんだ?
もうお前のカラダは俺に嘘つけねーんだよ、片桐」
「やめてっ、ヤだもんっ、っく、シなくていいからっ…ふあぁっ…!」
ぬぷぷぷっ…
サクの指が悶える亜紀子の脚の間に滑り込み、ぬかるんだ沼に沈んでいく。
熱く、とろとろになったソコは、まさしくサクの指を歓迎していた。
しかし、ひと回ししただけで、イタズラな指は抜かれてしまった。
「…っう?…きゃ!」
「ほら、片桐、これはなんだ?
お前のエロい液体じゃねぇのかよ?」
ぴたぴたと叩くと、糸を引いて亜紀子のほおと指が繋がる。
「まさか、さっきシた分が拭ききれてません、なんて言わねぇよな?
それにしちゃ、触ってもいねぇのにとろっとろ」
「やっ、舐めちゃ…!」
舌を長く伸ばして指の塩味を楽しむ。
それを見せつけられた亜紀子は、ふるっと震えた。
「ったく、こんなに何されてもカラダは正直に感じてんのに、口は素直じゃないんだからな。
こうなりゃ意地でも欲しいって言わせたくなる」
言いながら、首の湿ったタオルを亜紀子の手首に巻きつけて縛った。
もちろん亜紀子は、イヤイヤと繰り返す。
「言っとくけど、俺はお前が無意識に誘惑してきてるのに乗ってるだけなんだからな?
ありがたく思えよ」
うそぶきながら、充分に興の乗った手付きで亜紀子の胸をこね回してやる。
亜紀子は拒否の合間に、はっはっと短い息をつき、その度にピンク色の舌がちらりと覗く。
その様は、嫌よ嫌よも好きのうち…を演じているかのようだ。