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魔神探偵
【推理 推理小説】

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魔神探偵〜鼠編〜-5

「秘技『亀甲縛りTYPEスパイダーウェブVer.D』」
──なんてやってる場合じゃない。はじめにやっつけた奴…美姫の話を持ちかけたと思われる方の頬を目一杯ひっぱたいて叩き起こす。
「んん〜…」
「んん〜じゃねぇ。殴って走馬燈でも見せてやろうか」
男の前髪を掴み上げる。怯えてはいたが、なぜこのような状況になったかはあらかた分かっているみたいで、質問をする度にペラペラとよくしゃべった。
「そんじゃあ今日の夜にそれが行われるんだな?」
「ああそうだ。何時かは聞いてない…」
前髪を掴み上げて、強く目を見つめた。
「本当だ…許してくれ…」
マジらしいのであっさりと離してやる。だが、このままではまずいので、当て身を食らわして寝かしつけた。
「滝…か」
男から聞き出した滝へと急いだ。
<呪い払いが行われる…>
男はそう言っていた。予測ではあるが。呪い払いとは、母子を滝壺に落とすとゆうヤツに違いない。そこで美姫も滝壺に落とされるはずだ。俺は、吹き出る汗を拭う事もせず、ただただ走り続けた。


 大人数の足音か響く。滝の音にも負けぬほどの人数だ。
「おまえ達はここで死ぬんだ。何か言いたいことはあるか?」
三人は口を閉じたまま、下ばかりを見つめていた。
「行け」
村長に押され、滝の前に立たされる三人。村長が三人から離れたのを、俺は見逃さなかった。
「お待たせされました…っと」
三人と村長の間に割って入る形になる。この時を待っていた。


「貴様は…もう一人の悪気!」
「おうよ。ざっと五時間は待たされたんだ。少し話しでも聞いてけよ」
村長も、その後ろも驚いた様にこちらをみるが、気にせずに話を続ける。
「多恵さん。簡潔に言えば、あなたに頼まれた依頼…あれの犯人は…」
三人を背にしたまま、人差し指を村長に向けた。
「あんただ。村長。しかし、それは誘拐だけの話。遺骨を盗んだ犯人は別にいる。妹から聞いてるかもしれないが、その犯人はあなたの息子さんです」
「ふん、それが」
「あんたは黙ってろ。実際、なんでこの村に、あんたらの言う呪いが降るか知ってるのか?」
「それは祈子神様がお怒りになられるからで…」
「違うぜ」
思いっきり睨み付ける。呆れることしかできなくなりそうだ。
「その年で知らないなんてな……。いいか?血の繋がったもの同士のガキってのはな、そうなっちまうんだよ。あんたらは外から来た奴らを『悪気』だとか言って追い返すだろ?だから必然的に血は濃くなるんだよ。その結果が呪いだ。そして、奉られている二十日鼠。あれはこの村自体を示しているんだ。二十日鼠はその名の通り、子を生むのが早い。だけど、自分の家族とでも子を作っちまうから血が濃くなるんだ」
「バカな…」
たぶん、そうゆう教育をしないんだろうな。ここの連中は…。だからこんな年になってもそんな事すら知らない。
「一応誘拐の方だけは、警察の方に届け出が出てる。それにな…」
赤い光が木々を照らす。赤色灯がクルクルと回っているのだ。
「おまえ…」
「携帯の電波はあったんでな、おまわりさんに連絡を入れといた」
「くっ……」
力なく膝を曲げる村長に「じゃあな」とだけ言い残し、三人と一緒に、多恵さんの家に帰る。遺骨は美姫(その時は霧音)が発見したらしく、無事に多恵さんに返すことが出来た。そして、俺たちにもの凄い勢いでお礼をして来た多恵さんに、俺は言ってやった。
「仕事ですから」
苦笑いをした多恵さんだったが、納得したらしく、俺たちが帰る時にはおみやげまでくれた。慌ただしかったが、まぁなんとかなったのは幸い…かな?



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