けんぽなし〜ニゲル〜-6
「あや、帰ろ」
亮、綾の前に笑顔を見せる…
その笑顔はあの頃と同じ…
同じ笑顔で…
曇りなく…
キラキラしてて…
透き通る…
本当に…
あの頃のままの綺麗な心から出る笑顔…
そんな亮の笑顔が空気をふんわりと包んでいった…
私の目からは涙が溢れる…
私だけじゃない…
彩も…
彩の母さんも…
透蒔の母さんも…
透蒔も…
「瑞希ーっもう昼過ぎよー大丈夫?」
次の日、私は、母さんのそんな声で起こされた…
「大丈夫?」
母さんは、昨日私が倒れたことを心配しているのだろう…
私のベッドへ腰を下ろした…
「うん…大丈夫…」
「よかった…あの2人も見つかってよかったね」
「うん…」
母さんが私の頭をなでる…
昨夜、あの後、落ち着いた2人は、それぞれ家に帰って行った…
やはり私達は子供だと、思い知らされた…
私は昼食を食べ終わると、太一の家へ向かった…
もうすぐ夏休みが終わる…
また、みんなはそれぞれの世界へ戻って行く…
ー…あ…あれ??
太一の部屋には空が1人、ゲームとにらみ合っていた…
ーな…何で?太一は?え?だって太一の家でしょう?誰もいないで…何で空?
この状況に私は動揺を隠せない…
「何突っ立ってんだよ?早く戸閉めろよ暑いだろがっチビがっ」
ーなっ!!
私、戸を閉めて空から離れて腰を下ろした。
ーうっ…帰ろうかな…
「…彩、モデルになりたくて、両親が反対してるらしい」
空、ゲームの手を止めずに言った。
ー…え…モデル…
「そっか…彩はちゃんと将来の目標があるんだ…」
考えたこともなかった…将来…
私は何がやりたいのだろう…