初夏のすれ違い / カラダ編-8
…―やっぱりサクはあたしのこと好きなのかなぁ?
亜紀子の考えはいつもここに行きついて、しかし考えても分からずにイライラする。
もしそうじゃないとしたら自分が惨めすぎる、と思って、考えるのをやめるのに、忘れたころに求められたり、目が合ったりして、また戸惑ってしまう。
…―もうやだ、なんでこんなにサクに振り回されなきゃなんないの!?
……ま、でも!
ここで亜紀子は安堵する。
…―なにしろあさってからはGWだもん、サクと顔を合わせずに済む!
…ん?
ヴン…とポケットの中でケータイが震えた。
こっそり引き出して開くと…
受信メール1件。
《一応
:そう言えば知らなかったから。080… 》
先程のクラスメイトとの会話で思い付いたのだろう、サクがケータイの番号をメールしてきたのだ。
仕方無く亜紀子も返信する。
《RE:一応
:090… 》
授業中ということもあり、いつもにも増してそっけなく、番号だけを返す。
…―せ、せっかくGWは平和だと思ったのに…ヤな予感〜!
本当に夜中に電話をする習慣になってしまったらどうしよう、とぐったり落ち込む亜紀子を見咎めて、英語の教師が指名してくる。
噛み噛みになりながらも、なんとか結衣に写させてもらった英文を読みあげる亜紀子なのだった。