初夏のすれ違い / カラダ編-15
「…えぇと…
…アレに当てるとね、敏感になるでしょ?
そうすると、ナカがきゅうっとなるから、ちゃんとコスレるようになって…だからキモチイイ、の」
「ん〜…」
サクは難しい顔だ。
「きゅう、っていうのは?」
「それはその…」
「締まるってこと?」
「うぅん、それだけじゃなくて、なんて言うのかな、天井が降りてくるって言うか…」
その時を思い返している亜紀子のほおは、既に真っ赤だ。
ようやく納得したサクは、それに気付いてニヤッとした。
「ふーん、つまり狭くなるってワケだ?」
「そ、そうそう!」
「で、何が?
どこに何を当てると、何を入れたどこが狭くなるって?」
「…っ!」
いきなりドSモードに戻るが、隣のテーブルに客が通されたことで亜紀子は救われた。
「ちっ…
じゃあ次な?
一番キライなモノは?」
サクは自分ばっかり曖昧な単語を使ってズルイ、と睨みながら亜紀子は考えた。
でも答えはすぐに出る。
「…こーゆー、ちっちゃいの」
間を開けた指2本で、すうっと1cmの幅をなぞる。
お箸よりは少し太く、長さは10cmくらい。
「…それはなんだ?
さっきの論法からいくと、細すぎてナカをこすんないから好きじゃないってワケ?」
見たことがないからか、サクは見当違いなことを言った。
「ん…そうじゃなくて…」
さすがに言いよどむ。
「これ…後ろ用、なの」
あぁ、言ってしまった。
結衣にも話していない。
サクにもバレていなかったことを、自ら。
でもやっとあの辛い体験を話す相手ができて、少しほっとしている。
相手は脅迫してくるようなヤツだけれど。
とは言え、黙り込むサクが怖くて顔をあげられない。
「……はーー」
少し経って、息苦しそうな溜め息がサクから吐き出された。
何を言われるか、ぎゅっと目をつぶる。
「…片桐、お前……エロすぎ」
その言葉があまりにも熱っぽかったから、思わず顔をあげる。
サクの目はギラギラしていて、欲情しているのが一目で分かってしまった。
いきなりストレートに性欲を浴びて、亜紀子は充てられてしまう。
自分の体温が更にあがり、目元、口元がぽぅっとなって…