初夏のすれ違い / カラダ編-14
「…どこから話せばいいの」
「んー、3回目から?」
「……もう覚えてない」
亜紀子は既にどれがどれの時だか、分からなくなっていたのだ。
サクは信じてくれたようで、少し考えてからじゃあ、と口を開いた。
「俺から質問するから、ちゃんと答えろよ?
そーだな、まず…」
サクは、最近の兄とのペース、最後にシたのはいつか、どこでどういうタイミングでスるのか、などと聞いてきた。
ちょっとでも曖昧なことを言うと意地悪く追及してきたが、勉強を教わっている、と言うと、へぇ!という顔をした。
質問は、だんだんプレイ内容のことになってくる。
「部屋での体位は?」
「机で、立って…後ろから」
「げ、俺がガッコでする時と一緒じゃん。
…モノは?
モノは使うの?」
「…モノ?」
「おもちゃ。
お前ら、2回目の時から使ってたんだろ」
そうだった、この前はそこまで話したんだった。
ラブホで時間をかけてすっかり吐かされたのを思い出し、亜紀子はぶるりと震えた。
「たまに…使う」
「どんなん持ってんの」
声は低いが、サクの目は興味津々だ。
そう言われても…
「…小さいのも、大きいのも…」
「それじゃダメ。
いっこずつ説明して」
仕方無く、手でサイズを示しながら思い出していく。
今は自分の部屋にある、バッグの中身。
「…で、どれが一番好き?」
そう聞いてくるサクの目付きは、完全にドSのものだった。
亜紀子の脳裏に浮かぶのは一つしかない。
「……ろーたー」
「…ふーん。
…なんで?」
「…?」
「俺、オトコだし、良さが全然分かんないんだけど、マジで」
…それは、伴うカラダの変化を説明しろということか。
それ自体も恥ずかしいが、説明するためにはまず感覚を思い出さなければならず、だんだんと息が荒くなってしまう。
「…その…
…入ってる時に、その…アレに当てると…きゅうっとなって、余計…」
「片桐。
それじゃ全っ然分かんねぇ」
まさか、この場で卑猥な単語を口にさせられるのかと焦るが、どうやらサクは本気で分からないらしい。