理想と現実-1
それから3ヶ月後―。
毎日玲子のことを考え、勉強もおろそかにしてしまうようになった梨華は高校を中退し、玲子の家に転がり込んでいた。
我が儘を受け入れる条件として、仕事の邪魔はしないなど色々なことを提示されたが、傍にいれるならそんなことはたやすいと言わんばかりに勢いづいて返事を返し、手に入れた愛しい主人と同じ屋根の下。
【同棲】という甘い生活を想像した梨華に与えられたのは、厳しい現実だった。
朝仕事へ行く主を送り出した後は、自分の部屋の掃除。
玲子の部屋や他の部屋は全て担当の清掃係がいるので必要もなく、洗濯は梨華のものも含めてクリーニング係が持っていく為、洗濯機すらない。
それが終わると毎日玲子から出される課題をこなし、日課とされるオナニーをすると、丁度家庭教師がやってきて学校と同じ勉強をする。
学校を止めれば勉強もなく、玲子と住めば毎日えっちなことばかりするものと勝手に思い込んでいた梨華からすれば、これでは学校にいるのとあまり変わりない。
えっちなことばかりなのは品がないと考える玲子の案の為仕方ないと諦めたが、本音を言えば朝から晩までピンク色がいいに決まっていた。
3時間程勉強したあとは、2時間の休憩が挟まれ、その間は何をしていても構わないが結局勉強疲れで昼寝をすることが多く、起きると夕方になっている。
ここからは梨華の好きなピンクの授業として、玲子の知り合いのふたなり専属トレーナーが梨華に色々と礼儀などを教え込む。
2時間程授業を受けると、程なくして玲子が帰宅する時間なわけだが、日によっては帰らない日もある。
最低でも朝から2、3回は射精しているにも関わらず玲子の姿が見えるとドクドクと中心に血液が集まるのだから、ふたなりの性欲は尋常ではない。
同棲を始めてから3週間が経過して、梨華なりになんとなく生活のリズムが出来てやらなければいけないことにも慣れてはきたが、同棲開始早々に仕事が忙しくなってしまった玲子とはすれ違いばかりで寂しい思いを抱えていた。
『はあ…。玲子お姉様ぁ…。』
その日も朝から勉強や授業を受けた後、自室にこもっていると、つい数分前【今日は帰れない】とメールを受信してふかふかのベッドの上で丸くなる。
梨華の部屋は、玲子の衣装部屋を挟んで右隣に位置し、内装はシンプルな造りだが梨華の好みでごちゃごちゃと騒がしく飾られていて、1人暮らしをしていた時よりは大人しいにしても玲子の部屋と比べると、とても子供じみていた。