異界幻想ゼヴ・アファレヒト-24
「うぅ……」
胸に視線が這ったのが分かって、深花は呻いた。
「我慢、できるか?」
その言葉を言わせるための駆け引きとして、ジュリアスは体を引き寄せて耳元で囁く。
「でも、手が……」
体を引き寄せられ、膝の上に座らされたのに逃げ出さない時点で答は出たようなものである。
「指は使えるぞ」
耳に息を吹き掛けると、深花の全身に痙攣が走った。
「それと、こっちもな」
少し顔を傾け、ぺろりと頬を舐める。
「あ、ぅ……」
それを求めて身も心も蕩けていくのが、手に取るように分かる。
「どうする?」
もう少し体を引き寄せ、胸板で柔らかな膨らみを押し潰す。
先端のしこりはとっくに硬くなっていて、深花が体をくねらせるとまろやかな感触の中でいいアクセントになっていた。
「……たい……」
もどかしそうに、深花は呟いた。
「め、迷惑じゃなければ、したい……」
「正直でよろしい」
素直に陥落したご褒美として、戸惑い気味に開いていた唇を奪う。
「ん……」
首に腕を回させ、より体を密着させてキスを貪る。
手の平で深花の頬を包むくらいの真似はしてやりたい所だが、じくじくした傷の治らない手では無理な相談だった。
神経系を操作して勃起を必死で抑えていたジュリアスだが、それを止める。
「んん……!」
腰の下でいきなり大きくなった肉棒の感触に、深花は飛び上がった。
「いちいち驚くな。止めてるって言ったろうが」
「いや、でも、ちょっと……」
熱い湯舟の中でも、膨らんだそれの熱さと形はよく分かる。
「うぅ……」
肉筒を咥え込む快楽を思い出して秘唇の中が震え、愛液を吐き出した。
体中が蕩けて発情しているのが分かり、ジュリアスはくすくす笑う。
とりあえずは汗ばんだ首筋に唇を落とし、べろりと舐めてから言った。
「まあ、風呂から上がろうか?満足するまで、たっぷり抱いてやるよ」
ベッドに移動してから、ジュリアスは深花の唇を堪能していた。
「はむ……んん……ん、ぅ……!」
組み敷いた肢体の華奢さ、柔らかさ。
熱く甘い唇を存分に吸い立て、唾液を啜り合う生々しい感触。
普段は意識して仲間以外近づけずに生活しているが、こうして女と関係を結ぶ楽しさを捨て切れるほどに枯れている訳ではない。
ミルカの神機搭乗後のアフターケアなんて大義名分がついていても、しているのは深花を抱く事だ。
あの夜以来なし崩しに和解が成立しているし、ベッドの上の事に限らず色々なルールを学んで世界に順応しようとしている深花を教導できるのは、面白い経験だった。
「ん……」
少し唇を離し、深花に呼吸させる。
せわしない呼吸が落ち着いてきた所で、深花の顔を覗き込んだ。
「や、だ……見ないで、よぅ……」
すっかり潤んだ顔を背け、深花は嫌がる素振りを見せる。
「ひゃうっ」
耳たぶを軽くかじってから、ジュリアスは首筋にキスした。
心も体も蕩けてしまっていて、そんなものはこちらを煽るポーズでしかないのは分かり切っている。
自分を受け止めている滑らかな柔肌は、硬さを増したかさぶたの付いた手で擦るとそれだけで傷ついてしまいそうだ。
残念ながら揉む愛撫は痛みが走ってできない分、今は唇と舌とを働かせる。