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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・アファレヒト-23

「……お風呂、どうする?」
 ふと気になって、深花は尋ねた。
 整髪料で髪を撫で付けているし、湯舟に浸かって色々落とせばさぞかしさっぱりするだろうが……それには介助が必要だ。
「入らせてくれりゃ助かるが……明日の朝には治ってるだろうし、別に」
「分かった。一緒に入りましょ」
 深花の決断に、ジュリアスは口笛を吹いた。
「大胆だな」
「開き直っただけよ」
 ジュリアスを裸に剥くと、深花は下着を脱ぐ。
 二人は、隣のバスルームへ行った。
 広い室内の真ん中に円形の浴槽があり、満々と湛えられた湯からほわほわと湯気が立ち上っている。
 湯舟の脇に用意されている香水入りの洗浄料を湯の中に振り入れて掻き交ぜると、深花は先にジュリアスを浸からせた。
 深花がリオ・ゼネルヴァに来て驚いたのが、風呂の発達である。
 たっぷり張った熱めの湯に身を委ねる、日本式に近いのだ。
 考えてみればそういう方式を否定する宗教が存在する訳ではないし、納得できる事ではあったが。
 シャンプーも体洗いも湯舟の中で済ませるのは最初躊躇したものの、今はもう慣れてしまっている。
「頭、洗うわよ」
「おう」
 お湯でジュリアスの髪を濡らし、手櫛をかけて湯と髪を馴染ませる。
 それから髪を洗って整髪料を落とすと、深花は湯舟に浸かった。
 少し離れた場所で、自分のセットやメイクを落とす。
 その間ジュリアスは、手の平の傷痕に視線を注いでいた。
「治った?」
「ふさがった」
 見せられた手の平は……かさぶたが傷をおおっていたが、まだじくじくした感じは消えていない。
 つまり、自分の面倒を自分で見れない。
「よし。体、洗いましょ」
 深花は体を洗うための、目の粗いタオルを手に取った。
 タオルに湯を含ませると、まずは顔を撫でる。
 垢と共に一日の疲れを上半身から落としていくと、湯舟に浸かっている下半身に到達した。
「……」
 異性の下半身に手を触れるのは、やはり躊躇する。
 意を決して、深花は左の腿から洗い始めた。
 腿・ふくらはぎ・足先……右側に移って、足先・ふくらはぎ・腿。
 とうとうそこだけになってしまい、深花はしばし固まった。
「あ〜……無理すんな。デリケートな所だし、触るのは抵抗あるだろ」
 ため息をつきながら、ジュリアスは言う。
「ていうか、かなり無理して神経押さえ付けてるからむしろ触るな」
 その物言いに、深花はきょとんとする。
「あ……」
 しかしすぐに理解したらしく、頬が真っ赤に染まった。
「あ、そ、そうなる、んだ……」
「つうかむしろそうならないで、どうやってお前を抱けって言うんだ」
 赤い頬が、ますます赤くなる。
「そ、そんな露骨に言わないでよ……」
「露骨に言おうが婉曲に言おうが同じだろ。それよりお前、レグに乗ったのにまだ副作用は出ないのか?搭乗時間が短かったから副作用が出ない、とかなら別にいいが」
 深花は一声唸ると、ジュリアスに打ち明けた。
「あ、あのね……体はずっとそうなってるんだけど……手を怪我してるし、今日はなしかなと思って……」
 もじもじしている深花を見て、ジュリアスは笑いの衝動を押し殺す。
「……一人で我慢できるなら、俺はお呼びじゃないけどな」
 じろり、と舐めるような視線をふっくらしたパーツに走らせる。
 フラウの体型と比べれば見劣りするが、深花のスタイルは悪くない。
 滑らかな肌の触り心地も申し分なく、深花の性格上ありえない話だがもしもパートナー間の義務でなく完全にプライベートでお誘いを受けたら、断る事はないだろう。


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