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〈利益の卵〉
【鬼畜 官能小説】

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〈利益の卵〉-1

枯れ葉がヒラヒラと舞い落ちる夕暮れの路地を、一人の少女が“とぼとぼ”と歩いていた。

佐藤美優・12才。

やや奥二重な瞼の切れ長な目・鼻筋の通った鼻・薄い唇の少し大きめな口からは前歯と八重歯が覗いている・少し赤みを帯びたセミロングの髪。
ピンク色のトレーナーにジーンズの地味な服を着ていても、その少女の可愛らしさは少しも揺るがない。
背中に背負う赤いランドセルが違和感があるくらいの、近所でも評判の美少女過ぎる小学生だ。

まるでリスのような可愛らしさをもった少女、しかし、その表情は曇っていた。重い足取りのまま歩みを進め、団地の角に立つ一軒の真新しい家に入っていった。


「……ただいま」


玄関に入ると、ほのかに夕食の香りが漂い、トントンと包丁の小気味良いリズムが聞こえてきた。
だが、返事は聞こえなかった。


「ただいま…」


台所のドアを開け、もう一度「ただいま」を言った。
それは小さな声で呟くようだった。


『……あ、お帰り……』


夕飯の支度をしている母親は、今気付いたかのように返事をしたが、それはあまりにも素っ気ない態度であった。
言われたから返事をしただけ……そう見えるくらいに冷たい〈挨拶〉だった。


『ん?お姉ちゃん帰ったの…』


台所に来た小学生の妹までも、美優には素っ気なかった。
何か見えない壁でも存在するかのような、疎外感を美優は感じていた……いつもの事だ。


「……私、着替えてくる」


返事は無い。
母親と妹は楽しそうに会話を交わしており、美優の声など届いてないかのようだ。
少女の暗い表情は、この家族が原因だった。


あの母親は、実の母親ではない。
美優の母親は幼い時に他界しており、その一年後に後妻としてきた女性だった。始めのうちは美優を可愛がっていたが、結婚して三年後に妊娠して子供が出来ると、自分の産んだ子供だけを可愛がるようになっていた。
美優の父親もまた、美優よりも、その後妻との間の子供を可愛がった。
両親の愛を一身に受ける妹、それは羨ましくもあり妬ましい事でもあった。



『今週、美優は仕事なのよね?』


美優はグラビアの仕事をしていた。
母親が勝手に某オーディションに応募し、話を進めていたのだった。
本心では、そんな仕事などしたくはなかったのだが、普段は冷たい母親が目に掛けてくれたのを喜び、美優なりに懸命にアピールして、見事にジュニアアイドルの座を手に入れたのだ。
勿論、美優の美貌をもってすれば、オーディションの合格は、最初から決まっていたようなものなのだが………。



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