ブランチを、御一緒に。-4
それは、新学期後すぐの放課後のことだったらしい。
「…家に帰るのがイヤでね、学校で宿題やろうとしたんだけど、寝ちゃったんだ。
で、目が覚めたら目の前にサクがいて……あっ…!」
突然亜紀子が言葉を切り、虚空に目をさまよわせた。
「どしたの、亜紀子?」
「やだ…あたし今まで忘れてた…」
「何を?」
「あたしあの時、サクにキスされて起きたんだ…。
なんでこのコト忘れてたんだろう…。
ね、やっぱりサクはあたしのこと好きなのかな?」
「ど、どうだろ、あたしにとっては、サクはやっと今、話に出てきたとこなんだけど。
キスされて起きて、どうなったの?」
「……」
「…亜紀子?」
「…レイプされた」
「…はぁっ!?
んなっ…許せない、サクのヤツ…!
やっぱり大川に…」
「ゆ、結衣、しーっ!」
亜紀子になだめられて、あたしは怒りに震えながら椅子に戻った。
どうやら亜紀子は、キスで目覚めた時にサクを兄と誤解し、それを口にしたことで、サクに弱味を見せてしまったらしい。
あたしの怒りを鎮めつつ、亜紀子が話し続ける。
その後は、お兄さんとサクを"掛け持ち"していること。
今週の火曜日、バスケ部の三池くんに試合の応援に誘われたこと。
サクを無視するようになったけど、結局金曜に助けられたこと。
そして昨日、お弁当を作っていった話。