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アンハッピーバースデー
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アンハッピーバースデー-3

「知らないわ。でも、このままならどうせふられちゃうんでしょ。かけてみたら?」
急に徹は落ち込む。
「友達に聞くとかして調べればいいじゃねぇの?」
時として真壁は核をつく。
確かに、律儀に答えを求めるより早いし確実だ。
「それやったのバレたら即アウト」
「じゃあ、プレゼントはいつでも渡せるように用意しておくってのは?」
「いつ渡すかわからないのは変わらないだろ」
「うぐっ」
猛は引き下がってしまう。
「じゃ、次の講義の教室に移動するわ」
俺はそう言いつつ、図書館に向かった。
図書館なんて場所は、レポートの資料をあさる時くらいしかくることがない。
だから、自分の探しているものがあるかどうか不安だったが、悩むだけ無駄だった。
占い関係の本は棚を一列必要とするほど置いてあった。
そのうちの西洋占星術に関するものをいくつか抜き出すと、空いている机を探した。
レポートの時期とずれているから、探すほどのことはない。
それどころか、埋まっている席を探す方が大変だ。
近くの席に座ろうとしたら、金井をみつけた。
俺は気づかないふりをしてその隣に座った。
作業そのものは簡単だった。
いくつかの組み合わせと、それに対するこじつけのような説明がつけれればそれでいい。
軽い気持ちで調べてみたが、どうやらうまく説明のつくものが一つあった。
おそらく金井も、これに気がついたからクイズにしたのだろう。
なんにしても、ここまでする必要があるとは、面倒な感情だ。
「自分の気持ちがはっきりしてるなら、こんなことしなくてもよかったんじゃないの?あいつかなり沈んでるぞ」
隣の金井にだけ聞こえる程度に抑えた声で言った。
金井は驚いて俺の方を向いた。
「どういう意味?わからないわね」
驚いた顔はすぐに元に戻った。しらばっくれるみたいだ。
「言葉通りだよ。あんまりいじめるなよ。好きなんだろ、徹のこと?」
「そんなわけないじゃない」
「じゃあなんであんな条件だしたの?」
金井は鼻で笑った。いけすかない態度だが、金井には似合っていた。
「それこそ付き合いたくないからよ」
「そうかい。俺には、かなりのまぬけでなけりゃ、クリアできそうな条件だと思うんだけどね」
「どういうこと?」
声に動揺が現れていた。
「答えが分かれば意図するところもわかる。ちなみに答えは六月二十一日。一般的な双子座の最後の日だろう。年によったり、本によったりかはわからないが、二十二というのもあるが、これだと必ず双子座になるとは限らないから却下。ヒントはどっちにしてもだ。これは二つを比較してどちらでもということだろう。そして、そのヒントだけで一日だけに限定できるとすれば、最初の日か最後の日に限られてしまう。後は、どちらかだけを満たすような条件を探せばいい。そして、ちょうどあった」


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