盛春の一週間-14
〜土曜日の… 〜
一試合目、俺は絶好調だった。
対して、三池は絶不調。
応援は、ハデな私服の太田の声しか聞こえてこない。
でも一度ちらりと見た時は、ばっちり片桐と目が合った。
そんなんでも、応援されてる気になれるもんなんだな。
昼休み。
結局、片桐と太田、三池と俺の四人で食べることになってしまった。
ところが。
「はい、三池くんはコレね!」
「へっ何、ど、どういうことぅ〜?」
女子二人が作ってきたのは、個別の弁当を2つずつ。
俺には…
「サク、はい」
「さ、さんきゅー…」
片桐から一箱渡される。
後で聞いたところによると、夜のうちに太田と相談して、それぞれに作ることにしたらしい。
やけに太田にニヤニヤされると思ったら、そういうワケか。
でも、すげーウマくて、量が多いのに完食しちまった。
おかげで体が重たくて、午後の試合はあっさり負けた。
ま、いいか。
まだ14時だし、CDでも見て帰るかな。
着替えて更衣室を出ると、コーチに呼びとめられた。
昨日の三池とのトラブルを聞かれたので、かなり事実を曲げて説明する。
時間はかかったが、なんとか納得してくれたようだ。
更に、今日のプレーを褒められ、技術的な話になった。
終わって下駄箱に行った時には、もう俺一人…
…いや、違った。
「…おつかれ」
「なんでまだいんの、お前」
「…待ってた。
ね、今から、ヒマ?」
にこっと笑う片桐のバックに、花が飛んでいるように見えた。
あ、なんだ、片桐がツツジの咲き乱れる生け垣の前にいるからじゃん。
…どうかしてるな、俺。
「また、バイク乗せてくれない?」
えっと?
これは…どういう意味っスか?誰か教えて。