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どこにでもないちいさなおはなし
【ファンタジー 恋愛小説】

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どこにでもないちいさなおはなし-14

しばらく煙管を吹かしては何かを考えていたようでしたが意を決したように机の上から二段目の引き出しを開けました。
中には色々と入っていましたが、一番奥に透明なガラスで出来た箱がありました。
箱の蓋をそっと開けて、金色の紙を出しました。
それからペン立てにあったガラスペンでさらさらと文章を並べると、折り紙をするように、手早く何かの形に折りました。

両手でそれを大切そうに持って表へ出ると、小さく言葉を呟いて、ふっと、息をかけました。
金色の紙はあっという間に金色の蝶へと変わり、真っ暗な闇の中、きらきらと輝きながら遠くへ飛んでいきました。




 「なんでだよっ!!なんで会わせてくれないんだ」

汚い格好の青年は声を荒げて門番へ詰め寄った。
彼の荷物は鞄共々地面に転がって散らばっていた。
地図やコンパス、まだ食べられそうな固くなったパンもあった。

「今日は謁見の日じゃない。何度も言っているだろうが。それに最近では滅多に謁見も行わないんだ」

門番はきつい口調でそう青年に言う。
もう片方の門番は転がった荷物を集め始めた。

「でも、でも。どうしても会いたいんだ。どうしても聞きたいことがあるんだ」
青年は諦めない。
門番に大袈裟な手振りも加えて訴える。

門番が荷物を集め終わり鞄を青年に差し出す。

「悪いんだけどね、規則なんだよ」
少し年老いた門番だった。

青年は残してきた父の顔が浮かんで、何も言えなくなった。
鞄を受け取って日が落ちきるじっと金色に輝く綿飴のような宮殿を眺めていた。


 上等な上着を着たカエルはカーテンが開く音で目を覚ましました。
ぱちぱちと瞬きを繰り返すと、隣にあかむらさきのワンピースを着た少女は居らず、昨夜の長い銀髪の女性が立っています。

「もう朝んなったから、起きな。あの子はもうとっくだよ」

開いたドアの向こうではあかむらさきのワンピースを着た少女が変わった雰囲気のテーブルにきちんと座って待っていました。

上等な上着を着たカエルは慌てて飛び起きると、顔を洗いに雑貨屋の裏へと走っていきました。


三人がテーブルについたのはそれからそう時間がたたない内でした。

「いただきます」

長い銀髪の女性は両手を合わせてお辞儀をしました。
向かいに座っていた上等な上着を着たカエルと少女は不思議な物をみた顔をしてお互い顔を見合わせました。
そんな様子をみて銀髪の女性はくすくすと笑いました。

「おやおや、なんだい。そんな顔をして。国が違えば色々あるんだよ」

長い二本の棒を器用に動かして長い銀髪の女性は白米を食べていました。
上等な上着を着たカエルと少女の前にはパンとスープがありました。
二人はよくわからない顔をしながら、それを食べ始めました。


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