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それは小説を投稿した事から始まった.....
【片思い 恋愛小説】

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それは小説を投稿した事から始まった.....-2

「すみません」
後ろの方で声がしたので振り返ると、スタッフの一人が、
「厨房にお願いします。」
俺を呼びに来た。
「直ぐに戻ります。」
そう返事をすると、
「なるべく早くお願いします。」
そう言うと戻っていった。スタッフが戻っていったのを確認して、彼女の方を見ると、そこには彼女の姿は無く、走り去って行く彼女の後ろ姿が見えた。
「ウソ....だよな....」
俺は....俺は彼女の笑顔を守りたかった....だけど....俺は....俺は....その守りたかった....守りたかった彼女の笑顔を....笑顔を消してしまった....彼女は困った様な顔をしていた....俺は彼女を困らせてしまった....。こんな事したくなかったのに....。何で俺は.........自分で自分を責め続けた.....。

多分俺はその時、顔から血の気が引き、真っ青な顔をしていたのだろう。厨房に戻った俺の顔を見て、
「どうしたんだ。真っ青な顔をして....」
オーナーが心配そうに言った。
「急に寒気がして....」
咄嗟にウソをついた。オーナーは少し考えて、
「今日はもういいから、帰って休みなさい。」
「えっ、でも....」
俺が躊躇していると、
「店の事は心配しなくてもいいから....早く帰って休みなさい。」
そう言ってくれた。
「すみません。それじゃ。お先に....。」
俺が帰ろうとすると、
「明日も休みなさい。」
「えっ、でも....」
「いいから休みなさい。無理して長引かれる方が困るから....」
「じゃぁ、お言葉に甘えて.....」
「ゆっくりと休めよ。」
「ハイ。それじゃお先に失礼します。お疲れ様でした。」
俺は仕事を早退して、家に帰った。帰ってすぐに、俺はベッドの上で横になった。別に体の調子が悪い訳じゃない。それでも外を出歩く気は無かった。疲れが溜まっていたのかすぐに眠りに落ちた。

「すみませぇん」
バイトが厨房に駆け込んで来た。
「どうした?」
俺が声を掛けると、
「オーダーミスです。今、横山さんが謝っていますけど....」
「美香ちゃん、フロアのフォローに行って!!すぐに!!」
俺が叫ぶと、
「ハイッ」
美香がフロアに駆け出して行った。美香はオーナーの娘で、フロアの担当なのだが、忙しい時には厨房も手伝っている。二十代半ばの女性をちゃん付けで呼ぶのも失礼なのだが、小さい頃からそう呼んでいるので、ついちゃん付けで呼んでしまう。厨房は戦場と化していた。美香は彼女を厨房に連れて来て、
「大丈夫だからね!」
優しく彼女に声を掛けると、フロアの方へ走って行った。
「チェッ、この忙しい時に...」
厨房スタッフの誰かの声がした。
「オイ、そこ。口を動かす暇があるなら、手を動かせ!!文句を言う暇があるなら、一秒でも早く仕上げろ!次のお客様も待ってはくれないぞ!!」
俺が叫ぶと、
「すみません。」
そう返って来た。俺の視界の端に彼女の姿が見えた。彼女は下を向いて、泣いているように見えた。
「横山さん。悪いけど、洗い物お願い!!こんな忙しい時、皿が足らなくなると拙いから!」
「ハッ..ハイッ。」
彼女は慌てて、洗い物に取り掛かった。別にすぐに洗い物する必要なんて無かった。何かしていないと、どんどん落ち込んでしまうだろう。だから彼女に仕事を振り分けたのだった。なんとか問題も解決し、仕事が一段落した頃彼女が近づいて来た。
「今日はどうもすみませんでした。」
そう言って頭を下げた。
「イイヨ。気にしないでいいからね。誰でも最初の頃はミスを犯しているんだから。」
この時はまだ彼女に対して特別な感情は持っていなかった。気になる存在ではあったが.....


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