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それは小説を投稿した事から始まった.....
【片思い 恋愛小説】

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それは小説を投稿した事から始まった.....-1

彼女に逢えなくなった..。彼女にフラれた訳ではない。フラれる以前に告白すらしていないのだから....。いや告白出来なかったと言っていいだろう....。そんな俺の心に空いた穴を少しでも埋める事が出来たら....そう考えながら彼女への思いを小説という形に綴ってみた....。小説に書く為にエピソードを思い出そうとすると、まるで、昨日の事のように思い出された。溢れ出て来る彼女への思いを綴った拙い物だけどなんとか形になった。
読み返してみると、まるで彼女への恋文のように思えた。彼女へは決して出せない手紙。そう思えた。このままにしていたとしても何も変わらない。彼女への思いは簡単に思い出に変える事は出来ない。そんな事が簡単に出来るならこんな思いはしないだろう。そんな自分気持ちに終止符を打つ事が出来るなら....そう考え、書き終えた小説を投稿した。彼女がこれを読んでしまったら....そう考えなかった。といえば嘘になる。しかしその可能性は低い。そんな風に思えた。いやそう思いたかっただけかもしれない。まさか本当に彼女がこの小説を目にする事になるとは、この時の俺には想像も出来なかった。

4月の土曜日、嵐のような昼のピークが終わり、夜の仕込みをしている時、裏口の扉が開き、少女が顔を出した。
「お疲れ様です。」
聞きなれた声に、もしかしたらと思い顔を上げると、彼女が厨房を覗き込んでいた。
「横山さん、お菓子ありがとうね。」
彼女のバイトの最後の日にシフトが違っていて、挨拶出来なかったスタッフが、彼女のまわりに集まって話していた。俺は軽く会釈して、夜の仕込みにかかろうとすると、
「すみません。ちょっといいですか?」
俺が顔を上げると、彼女は俺の方を見ていた。
「俺?」
自分で自分を指差すと、
「ハイ」
彼女は大きく頷いた。嬉しさをこらえて、彼女の方に歩いて行くと、
「あのっ。今、お時間いいですか?」
「うん。大丈夫だけど....何?」
「ちょっと聞きたい事があって....」
「わかった。」
彼女と一緒に店の外に出ると、彼女は数枚のコピー用紙を取り出した。まさかバレた?。最悪の展開が頭をよぎった。
「これ読みました....」
彼女から渡されたコピー用紙を見ると、そこには俺が投稿した小説が印刷されていた。
「....これって....私の事ですよね....」
俺は怖くて彼女の顔を見る事が出来なかった。
「ゴメン....本当にゴメン.....迷惑....掛けたよね....」
恐る恐る顔を上げると、
「全然」
彼女は首を横に振った。
「本当に?」
「ハイ」
俺はホッとして大きく息を吐いた。
「聞いてもいいかな?」
「えっ、何ですか?」
「読んでみて、どう思った?」
それが一番気になる事だった。
「そうですねぇ....少し羨ましいかな....」
「えっ?それってどういう事?」
「だってぇ....例えずっと年上の人にでも、好きになってもらえるなんて事あったら....やっぱり嬉しいですよ。私にはそんな事起こりそうに無いから....」
彼女は淋しそうな笑顔を浮かべた。
「そんな事....そんな事無いでしょ....」
「そんな事ありますよ....私全然モテませんから....」
彼女は照れくさそうに笑った。
「俺....横山さんの事....好きだよ....」
「えっ?」
「それに書いてあるのは.....俺の本当の気持ちなんだ....」
「ウソ....ですよね....」
「俺は本当に....横山さんの事....」
彼女は驚いたような、困ったような顔をした。


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