3・恥と焦らしとエロ漫画-4
どうやら私は理性より好奇心の方が強かったらしい。
一冊単行本を手に取り、表紙を確認した。年配のスキンヘッドの男の人と、ちょっとふくよかな金髪の女の子が並んでいる。
思ったよりは普通と安心してタイトルを確認したら¨父と娘¨・・・
何か嫌な予感がしつつページを開いたら、いきなり巨峰が飛び出してきた。
でもそれはよく見たら巨大な乳房で
「いやあああっ!」
思わず本を落としてしまった。
いけない、今の店員さんに聞こえた?
もうダメ、こんなの無理。早く探して帰らないと私の頭がどうにかなっちゃう。
店員さんに変な目で見られながら私は頼まれた三冊を購入し、逃げる様に飛び出した。
「お帰り。あったか?」
私は投げ捨てる様にカバーをかけられた単行本を差し出した。
雅はそれを受け取り、満足そうに私の頭を撫でてくる。
「ありがとう、まりなならやってくれるって信じてたぞ」
「早く戻るわよ!もう時間だからね!」
「まだ一時間半もあるだろ。そんな焦らなくても・・・おい待てって、おいまりな」
来た時とは違って今度は私が早足で歩いていく。
それは、雅の顔を見たくなかったからだった。
でも・・・やけに体が火照っているのを誤魔化す為でもあったのだ。
こんなの雅にばれたら何をされるか分かり切っている。だから、知られてはまずいのだ。
さっきのスタジオがあるビルまで戻って来たら、雅がちょんちょんと肩を突いてきた。
この仕草はまさか・・・・
「まりな、トイレ行こう。俺と一緒にさ」
「1人で行きなさい。私は待ってるから」
「俺がしたい事分かってて意地悪してるのか。嫌だよ、まりなはそんなマネージャーじゃない」
「こっ、こら、離しなさい。雅!ちょっと、ふざけるんじゃないの!や、やめろー!」
行き交う人達も気にせず、雅は男子トイレの中に私を連行した。
一番手前の洋式の個室に駆け込むと同時に鍵をかけて、私の胸を鷲掴みにする。
「雅、いい加減にしなさい!さっきからふざけすぎよ!」
「声が大きい。もし誰か入ってきたらどうするんだ?」
「うっ、そ・・・・それは、だから・・・!」
「見つかるのは嫌だよな。だったら大人しくしてないと・・・な?まりな」
私の耳たぶをつうっと舐めて囁いてくる。
悔しいけれど、雅の言う通りだ。もし見付かったら取り返しのつかない事になっちゃう。