3・恥と焦らしとエロ漫画-2
「ふう、疲れてきた。まりなの無駄に大きすぎて揉むの大変なんだよな」
「さ、散々いじっといて、この・・・はあはあ・・・・」
「そうだ。なあ、ちょっと付き合ってくれるか?」
「はあ?ど、どこに行くつもりなの」
「一緒に来いよ。今日、発売日だからな」
雅はニヤリと唇の端を上げてそう言うと、せっせと歩き始めた。
同行を申し出たはずなのに、私に構わず早足で歩いていくので、見失わない様に急ぐのが精一杯だった。
「待ってよ、発売日って何のこと?」
「新刊だよ。いっぱい出るから早く来いって!」
そっか、新刊か。
雅がどうしてあんなに急いでるのかやっと分かった。
雅は漫画が結構好きという意外な一面があり、勉強の休憩代わりによく読んでいる。
私にお使いを頼む時も、必ず漫画雑誌をお願いするくらいだ。
でも私は元からあまり読まない方なので、雑誌の名前を聞いてもよく分からない。
だから最初の頃は買ってくる雑誌が分からず、買わなかったり間違ったりして雅に怒られる事は珍しくなかった。
昔、同級生の男の子がお母さんに雑誌を頼んで、間違った雑誌を買ってきたって話を聞いたことがあるけど・・・ちょっと笑えない。
ちゃんと雑誌名を覚えるのもマネージャーの役割なのね。
頼まれたお使いを果たせなかったんだから、マネージャーとしては失格だと思う。
もうあんな失敗は繰り返しちゃ駄目。雅の為に、真剣に向き合わなくちゃいけないんだ。
交差点の向かいに、大きな本屋があるのを見付けた。
もっと歩くかと思ってたけどすぐあって良かった。
「あっ、あった。結構混んでるわね」
雅はそこに入って・・・
と思ったけど、横に逸れて更に歩き続けた。
「本屋あったわよ、どこに行くの?」
「こういう所じゃないんだ。俺が行きたいのはもっと雰囲気が違う」
どんどん道が狭い方に向かって進んでいく。
さっきの所に比べ人通りが少なくなっていくうちに、少し不安になってきた。
「着いた。ここなら売ってそうだな」
「・・・なんか、小さいわね。大きい方が取り扱ってる雑誌も多いんじゃない?」
「いいんだよ、俺が行きたかったのはこういう場所だ」
中華料理屋とこじんまりとしたアパートに挟まれる様な形でそこにある本屋。
なんでわざわざこんな所を選んだんだろう、雅は。
「じゃあまりな、これお願い。ちゃんと読めよ」
雅に持たされたメモを見ると、何やら細々と書いてあった。
えっと・・・何々、
・女教師のユウウツ〜先生僕のチョークを握り締めて〜 いちかわ太一
・ドクター狂司〜患者という名の性奴隷〜 ぎょ☆にく
・娘の告白 剛田銀太郎
「何よこれは?!」
「あ、そっか、これじゃ分かりづらいか。最初がタイトルで最後が作者の名前だよ」
「そうじゃないわよ!これってエッチな漫画でしょう!」
「ああ。それをここで買ってきて欲しいんだ、できるよな?」
いくら私が漫画に疎いとはいえ、ただ読まないだけで成年誌がどういう場所にあるのかくらいは知っている。
私は雅の言葉の真意が理解出来なかった。