秘密の放課後-4
しかし…この悔しさは、なんだろう。
例えば、俺の弟(まだ小学生だが)が、俺より先に童貞を卒業したら、こんな気分になりそうだな。
…てことは、だ。
片桐は、ヤッたのか?
誰と?いつ?どこで?
軽くパニクったけど…でもこの思い付き、片桐がバージンじゃないかも…って考えは、すごくしっくりくるものだった。
コイツとは長い付き合いだけど、仲が良いわけではない。
緊張せずに話せる数少ない女子の一人、くらいのもんだ。
だから、考えたってコイツの相手が思い当たるってことはない。
ただ、ギャルでもないし目立つタイプでもないから、バージンじゃないとしたらかなり意外。
…つーか、やっぱ悔しい。
だから、そのせいなんだ、俺があんな行動を取ったのは。
悔しかっただけのはずなんだ、あの時点では。
あの瞬間、もう一度吐き出されたアンニュイなため息が、トリガーとなって。
更にガチガチに勃たせた俺は、眠る片桐の背後から、下半身を押し付ける形になるのも気にせずにのしかかり、ポニーテールを左手で引くと、誘われるように、くちびるにキスしてしまったんだ。
「……ん…」
片桐が、目を覚ましてしまう。
どうしよう…!
悲鳴か、突き飛ばされるか、ののしられるか?
10cmの距離で固まって身構えた俺に、片桐は…
衝撃の言葉を漏らした。
「……お兄ちゃん?」
「…っ!」
もう、我慢できなかった。
ポニーテールに指をからめ直すと、ぐいっと引き、噛みつくようなディープキス。
「っふ、んぅ!?」
目をあけると、片桐が、青ざめて驚きに目を見開いていた。
そうだ、俺だよ、いつもお前が、サクって呼んでる風間 朔光だよ!
今お前がキスしてんのは、"お兄ちゃん"なんかじゃねぇよ、ざまぁみろ!