秘密の放課後-2
〜・〜・〜・〜・〜
最近、ウチのクラスの、片桐ってヤツがおかしい。
やせた…つーか、やつれたように見える。
ぼーっとしていることも多いし、あまり笑わなくなった気がするんだ。
片桐と、俺、風間 朔光(かざま さくみつ)とは、小中高と同じ学校だ。
それだけならそこまで珍しくもないが、片桐とは中2と高1の時以外、ずっと同じクラス、という腐れ縁だ。
近所付き合いの薄い環境で育った俺にとっては、幼なじみみたいなもんかもしれない。
高校3年の四月。
また片桐と同じクラスになった。
知った時は、あぁまたか、くらいの気持ちだったけど、教室でアイツを見て少し驚いた。
なんか、覇気が無ぇんだ。
春休み直前のアイツを思い出す。
友達と、休み中にTDLに行こうって楽しそうに計画を立てていた姿を見かけた。
更に遡って…
冬休み明けは、別に変な印象は無い。
しかし…そう言えば、秋から冬のテストくらいまでかな、元気が無かったような気もする。
そして新学期の今、明らかにあの頃より暗いような…。
それに気付いてからは、なんとなく気になって、目で追うようになってしまった。
最初は、アイツが親友とクラスが離れたせいで落ち込んでるんかと思ったが、どうも違うらしい。
新しい友達は出来ているようだ。
女子たちは、片桐がオカシイことに気付いているんだろうか。
片桐の親友の伊藤は、けっこう大人びたコで、俺ら男子のなかでも評判が良いが、カレシがいる。
ソイツもまた、俺ら男子が見てもイイオトコだと思う佐伯ってヤツで、この二人のカップルは全校に認められている。
そんな余裕のある二人だから、片桐がヘンなのにも気付いてるとは思うが。
…まぁ別に、長い付き合いだからちょっと気になるってだけで。
別に、好きとかそういうんじゃねぇからな。
…別に。
そんなことを考えながら、一日の授業が終わり、四月から加入の委員会に出て。
ぷらぷらと放課後の教室に戻って来た、ら。
机に突っ伏して、アイツが寝ていた。
辞書を枕に。
…―片桐 亜紀子が。