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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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幼年編 その五 ラインハットへの旅路-4

「んで? 今度はなんの用? こう見えてうちのリョカ画伯大先生は忙しいの。アンとかいう青ジャリの仕事間に合わせなあかんし、邪魔するなら帰ってな。仕事のほうなら受付のガロンを通してくださいね」
 いやみったらしく言うシドレーだが、遅れて走ってきたガロンはアニスに警戒することなく近寄っていく。
「あらガロン。ご機嫌ね……」
 アニスはガロンを抱き上げると、そのまま胸にだく。ガロンもその扱いが嫌ではないらしく、ごろごろと喉を鳴らす。
「まさかガキならなんでもいいんか?」
「違うわよ。ガロンはまあ……、そうね。なんでか私にも懐いてくれるのよ。ねーガロン」
 ガロンを見るアニスの視線は彼女の言う穢れのないものであり、とても子供っぽいところがあった。
「ん? なんでお前ガロンのこと知ってるん?」
 ふと首を傾げるシドレー。リョカもその指摘に「そういえば」とアニスを見る。
「え? だって……今シドレーが言ってたでしょ? ガロンさんを通してくださいねって……」
 アニスはシドレーの口真似をしながら言うが、シドレーは不満気味。
「普通、受付通せって言われて猫がガロンだと思うか?」
 墓穴を掘るアニスは目を泳がせながら「まあ、そういえばそうね」と言い訳が見つからない様子。
「ねえそれより今日はどうしてきてくれたんです? 僕この前のお礼も全然だし、そうだ。サンチョにパンケーキを焼いてもらうよ。ね? 一緒にお昼を……」
 だが、また険悪なムードになりかねないとリョカは慌てて話題を換える。
「え、ええ、それは嬉しいんだけど、でもちょっと別に用があるのよ……」
「またチンコ見せろってのか? この変態女が……」
「ちが! そりゃまあ……って違うわよ。いい? この前レヌール城の絵をアンに渡したわよね? それで……もしかして何かこう、金色の玉を見つけてない?」
「なんだ、やっぱり坊主の金玉に興味があるんか……」
「だから! もうこのバカトカゲ! ここで灰にしてあげたら全部解決するかしら……まったくもう……」
 ぶつくさと不満たらたらなアニスだが、リョカはこれ以上彼女の機嫌が悪くならないように道具袋から例の金色に光る玉を取り出す。
「これですか?」
「ん〜、多分これだけど、ちょっと見ていい?」
「はいどうぞ……」
 アニスはガロンを離すと、リョカの差し出した光の玉に手を伸ばす。
 リョカは疑う様子なくそれを渡すので、アニスは「ありがとう」と受け取ると、それを太陽に翳して見る。
 リョカもシドレーもそれを見るが、木漏れ日に視界を遮られる。
「ん、ありがと……。そうね。ちょっと違うみたいね」
「アニスさんも探し物?」
「ええ。これじゃないんだけど……」
 そういってアニスは玉を返してくれる。
「アニスさんも探し物?」
「ええ、まあね……」
「そう。父さんも何かを一生懸命探しているんだ。僕もそのお手伝いがしたいんだけど、全然弱くて……。だからアニスさんやボルカノさんみたいに強くなれたらいいんだけどね……」
 リョカはそう言うと照れたように笑い、頭を掻く。
「そう……。そうなのよね……。それは多分、覆せないこと……なのよ……」
 アニスはそう言うと瞳を潤ませる。そして急にしゃがみこむと、また彼を抱きしめた。
「お、コイツまだ諦めてないのか! リョカ、さっさとその変態ショタコン娘から離れろ! 妊娠するぞ!」
 シドレーは苦々しげに呟くが、アニスはそれに乗る気配がなく、微かに動いた長い睫、横顔に太陽の光が不自然に反射していたのが見え、言葉を止める。
「アニスさん?」
「ごめんね。私はリョカを守れない。貴方が本当に辛いとき、何もしてあげられない。だけど君は強い人だから、だからきっと大丈夫。どんなに苦しいことがあっても、きっと希望を見つけ出せる人だから……。私は強くないから、貴方のように、強くないから……」
 後半涙に掠れる声にリョカは心が痛んだ。自然と彼女の頭を撫でているのは目上の女性に対して失礼なことにも関わらず、彼はそうしており、彼女もそれを拒まなかった。


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