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貴女を好きでいさせて下さい....
【片思い 恋愛小説】

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貴女を好きでいさせて下さい....-1

俺は恋をした。親子程年の離れた女の娘に。自分のこの気持ちを強く意識したのは、今年になってからである。俺は飲食店で働いており、その店にバイトに来たのが彼女だった。彼女は高校一年の4月の後半から来ているので、高校の三年間バイトに来ている事になる。そんな若い娘を本気で好きになるなんてどうかしているんじゃないかと思う人もいるだろう。しかし、俺は好きになってはいけない人なんかいないと思っている。いわゆる好きになってはいけない人を好きになるのがいけないのではなく、好きになった人の気持ちを考えずに、自分の気持ちを押し付ける事がいけないのだと思っている。そうだとすれば、彼女を好きになったとしても何も問題は無いはずである。ましてや俺は結婚していないのだから誰を好きになろうと俺の自由である。俺は誰を好きになってもいいのである。自分の気持ちを押し付ける事さえしなければ.....そう思いながら俺は彼女に自分の気持ちを告白出来ないでいる。冷静に自分を見れば、彼女に好かれるはず無いと思ってしまうから....。

今年1月の終わりに店のオーナーが、
「横山さんは3月で終わりだから、いつまで来れるか聞いておいてくれ。」
そう言われて初めて、あと2ヶ月程で彼女は居なくなるという事に気づいた。彼女と会えなくなる....そう思うと胸が締め付けられる様な気がした。その時、改めて自分の気持ちに気付いたのだった。まだ2ヶ月程ある。自分にそう言い聞かせた。2ヶ月あっても、自分に何が出来るかと言っても、何も出来ないだろう。彼女に告白する前に、出来ない理由を探しているのだから....まるで中学生当時の自分自身の様だった。

2月になって、彼女がバイトに来た時、俺が聞く前にオーナーが、
「横山さんバイト何時まで来れる?」
そう尋ねた。彼女は少し考えて、
「もしかすると、就職先からバイトとして、3月から来てくれと言われるかもしれないので、そうなったら2月までで、そうならなかったら3月までです。」
「そうか....決まったら、教えて。」
「ハイ。」
二人の会話が聞こえた。今月末で彼女に会えなくなるかもしれない。まだ2ヶ月あると思っていたのに....俺には考えたくない事だった。そうならない様に祈る事ぐらいしか俺には出来なかった。
それから一週間して、
「あのぅ」
彼女に呼び止められた。俺が振り向くと、
「これから、用事があったリ、旅行に行くので...」
イヤな予感がした。ドキドキしながら、彼女の言葉を待った。
「20日から4日まで休ませて下さい。」
俺はホッとした。
「わかったよ。」
「スミマセン。」
「いいよ。じゃぁまた5日から宜しくね。」
彼女は些細な事でも謝ってくれる。それを彼女の優しさだと感じてしまうのは、彼女の事が好きだからだろうか?4日まで休ませて欲しいという事は、5日からバイトに来るという事である。俺は嬉しくてたまらなかった。3月になっても彼女に会えるという事に....。

2月の下旬オーナーが、
「横山さん2月でバイト辞めるかもしれないと言ってたけど....」
「3月になっても来れるみたいですよ。」
4日まで休ませて欲しいと聞いていたので、そう答えた。
「前に聞いた時2月で辞めるかもしれないと言ってたから。」
「それは無いみたいですよ。」
「それなら、いつまで来れるか今度来た時聞いておいてくれ。」
「ハイわかりました。」
オーナーは仕事を休む者を嫌っている。どんなに仕事が出来ても、仕事に来なければ役にたたない。そう考えている。それはそうなのだが、無断欠勤で無いなら別にいいのではないかと俺は思っている。彼女は無断欠勤はしないが、バイトを休む事もたびたびあったので、オーナーの彼女に対する評価はあまり高くない。俺の彼女に対する評価は、個人的な感情も入るがものすごく高いのだが...。彼女が休む度に、オーナーの文句が出るので、彼女が来るまで、電話が鳴る度に、彼女からのバイトを休ませて欲しいという電話でないかとヒヤヒヤしたものだ。今回も半月も休むので、また文句が出るのではないかと思っだが、彼女が今度いつ来るのか聞かれなかったので助かった。


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