幼年編 その三 レヌール城のお化け退治-9
ビアンカはそれを見てしまった。
リョカの股間でむくむくと大きくなるものを。
これまでに何度かダンカンとジルバが二人だけで何かをしていた夜があった。
そういう日、ビアンカは早めに寝かされるのだった。
何か秘密を隠している。そう思ったビアンカは寝たふりをしてこっそり夫婦の寝室を覗いたことがあった。
そこで見たのは裸になり、ベッドでキスをする両親。キスこそが最大の性行為だと理解していたビアンカにとって、それは異質な光景であり、忘れたいものだった。
事実、忘れていたのだが、先ほどリョカのモノが大きくなったとき、ビアンカは己の限界を超えてメラを維持させていた。
一体どうなるのだろう? 確か母は父のそれを口で咥えていたはずだ。
幼い日のビアンカはそれだけ見ると部屋に閉じこもり、吐き気と熱くなる気持ちと必死で戦っていた。だが、今さっき見たリョカのそれに、それほど嫌悪感は無い。ややおしっこ臭いところはあるが、それでも目を奪って離さない魅力がある。
あんな醜いモノのどこにそんなものがあるのか、今こうして高鳴る胸の鼓動との矛盾でパニックになる。
「そ、そうだ、いいこと考えた……。リョカは動かないでね……」
ビアンカはふと手を伸ばし、リョカの足の間を縫う。
「なに? ビアンカ……」
「ちょっと前に腰を出して? そうしたら……」
「出られる?」
「んと……かも……」
――咥えられるかも……。
母の行為を思い出し、父の喘ぐ声を思い出したビアンカは、そのまま……。
リョカは言われるまま腰を前に動かした。一瞬の違和感は、おしっこをしたくなるときに起こるオチンチンの機能障害。異常に堅くなり、大きくなり、おしっこがしたいのに出しにくくなること。
父に聞いても笑って教えてくれないが、最近はよく悩んでいるようにも見えた。
ただ……。
「あっ……なに? いまの……」
冷たい感触がオチンチンにした。
「なんでもない。そのまま動かないで……いい? 絶対だよ? ……ん、んぅ……あむ……!」
「え? あ、あぁ……」
冷たいと思っていたら、急に温かいものに包まれる。
やわらかく、ねっとりとしていて、そして……気持ちよかった……。
「な、何? なんなの? あ、あぁ……」
体の一部、それも握りこぶし程度も無い部分が何かに包まれた。ただそれだけなのに、全身が強張る。腰、お尻の辺りが変に力が入り、痙攣しているかのように引く着いていた。
「うん……ふむ……ちゅ、ぺろ……べろ……」
「あっ、あっ……あぁ……ねぇ、ビアンカ……これ……な……に?」
手で頭を押さえ、視界がこの黒とは別の闇に包まれることに、リョカは不安があった。
きっとこの快感の原因はビアンカ。そして、とても良くないことだろうと、そうわかっていた。
例えば本に落書きしたり、つまみ食いをしたり、子供だけで冒険をしたりと、そういう拳骨で相殺されるような悪戯ではない。もっとこう、まだ子供には秘密であるべきイタズラなのではと理解した。
「ね、ビアンカ……。そんなことしちゃ……だめだよぅ……、僕ら、まだ子供……なんだ……」
「んちゅば……んぅふぅ……なによ、この前キスしようとしたくせに……んべろちゅばっ!」
「あっ、あっ! あぁん!」
女の子のような悲鳴を上げるリョカ。反射的に腰を引くも、ビアンカはそれを許さずにすがりつく。彼女の乱暴に結んである二つの髪がリョカの内腿をくすぐり、それを開く。
「ね、やめてよ……ぼく、オチンチンが変だよ……」
リョカは目の前にあるはずの彼女の足を掴み、自分では力強く握り抵抗をしめそうとする。けれど、弱々しいそれは彼女の太腿を撫でるだけ。それどころか彼女はおもむろにリョカの顔を膝ではさみ始め……。
「ビアンカちゃん……太腿……柔らかいよう……。いい匂いするよ……なんで? 女の子はここでおしっこするんじゃないの? ねぇってばぁ……」
甘えた声でリョカは彼女の太腿に頬擦りをする。それはビアンカのイタズラ心を刺激し、さらにオチンチンへの刺激を強める。