Island Fiction最終回-7
「欲しいんじゃないの?」
アザレアは喉の奥近くまで亀頭を迎え入れつつ丹念にしゃぶった。
アザレアは緩急をつけて頭を振りながら、わたしに向けて腰を振った。
彼女の成長は常にわたしの先を行っていたけれど、もはや到達不能の領域まで発達していた。
たるむことなく美しい曲線を描くお尻の向う側に性器が張り付いていた。
それはアザレアの滑らかな肌に見とれていたわたしに、現実感を取り戻させる。
頭のてっぺんから足の先まで非の打ち所がない彫刻的な造形美にあって、唯一リアルでグロテスクな部分だ。
「二度も同じ手に乗るわけないじゃない」
わたしの悪態は虚しく、消え入りそうだった。
「二人で世界を変えるの。わたしたちにはその力があるのよ」
ジョニーのペニスは日本刀のように反り返り、先端は槍のように鋭い。
長大な肉棒は咥えても根元まではとても収まりそうにない。
それどころか亀頭部分だけで口の中がいっぱいになりそうだ。
「嫌よ……」
ペニスの先端へ契約の口づけをすればわたしは報われる。
竿に手を添えて灼熱の秘裂へ導けば幸せが待っている。
剛直を根元まで埋めこめば、待ち望んでいたブロックがカチリとはまったテトリスのように、積み上がったブロックが一気に崩れていく。
「さあ、カスミ……」
アザレアの薄ら笑いが目に入った。
己の力で何かを成し遂げられるだなんて、わたしは思い上がっていたのだ。
ここがわたしの立ち位置なのだ。
わたしの決意はどこにあるのか。
元々そんなものはなかったのだ。
「カスミさん! ダメだ!」
トウゴウがディカプリオへ飛びかかった。
無謀な行動だと言うほかない。
ディカプリオの動作は恐ろしく速かった。
上着を左手で跳ね上げて腰に差した拳銃を露出させると、右手で引き抜いた。
すべての動作が流れる風のように淀みがない。
訓練された兵士の動きだ。
腕を伸ばしたときには、すでに狙いが定まっていた。
放たれた弾丸は正確にトウゴウを捉えた。
トウゴウは腹部を押さえた。
体を折り曲げるようにして前のめりになり、さらに二発目を胸の右辺りに受けた。
後ろへ仰け反って倒れた。
受け身を取ることなく後頭部をコンクリートの地面へ打ち付けた。