Island Fiction最終回-6
「今のわたしはどんな風に見えてるのかしら?」
桟橋に降り立ったわたしにアザレアが声をかけた。
五年ぶりの再会だというのに素っ気ない。
「昔より老けて見える」
「失礼ね。それを言うなら、大人になったでしょ?」
と、アザレアは不服そうに口を尖らせた。
「今度は本当の姿が見えてるようね。よかった」
アザレアは両脇に外人の男を従えていた。
二人とも黒尽めのスーツ姿だ。
サングラスで顔を隠している。
ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオに似ている。
イケメンの白人男性なら見分けが付かないのだろうと言われるかもしれないけれど、イケメンであるのは間違いない。
メン・イン・ブラックのような出立ちは、恐らくアザレアなりのジョークなのだろう。
ちっとも笑えない。
「新世界へようこそ。ここからわたしたちの本当の人生が始まるのよ」
「何の話?」
「世界をわたしたちの足下に跪かせるの」
「本気だったの?」
わたしの手には銃がある。
薬室には弾丸が装填されている。
射撃の素人のわたしでも、この距離なら外す気がしない。
しかしながら、アザレアのM・I・Bが丸腰であるはずもない。
弾丸が発射された次の瞬間に、彼女の生死とは関係なく、わたしは脳みそを灰色のコンクリートへまき散らすことになるだろう。
わたしは自分に問いかけた。
差し違える覚悟があるのかと……。
「どうしたの? さあ、わたしをハグして」
わたしの覚悟の弱さを見透かしたようにアザレアが言う。
何の前触れもなくジョニー・デップが上着を脱いだ。
一瞬、わたしは身構えたが、それは杞憂にすぎなかった。
ジョニーは衣類を次々と脱ぎ捨て、裸になった。
鍛え上げられた肉体はしなやかで力強かった。
ミケランジェロの彫刻のようだ。
力と美が調和した芸術品だった。
股間に下がっている逸物が眩しい。
その巨大さは常人の勃起状態と変わりがない。
「好きにしていいのよ。新世界での男たちはすべてわたしたちの所有物になるの」
アザレアはしゃがみ、血液が循環してピクピクと脈を打つ肉棒に頬ずりしながら、上気しだした目許を歪め、わたしを誘うように見つめた。
「バカじゃないの?」
アザレアがジョニーのモノをそっと唇で包み込んだ。
「んんん、はぁぁ……、あぁぁ……」
ペニスは見る見る膨張し、すぐに口の中では収まり切らなくなった。
口から巨大なペニスが生み出されていくようだった。
ワンピースの肩をはだけると、一気にストンと下へ落とし、白い肌を露わにした。