ピリオド 終編-31
「ふ…んん…」
ベッドの中で軽い伸びをする。
「…眠すぎちまったかな」
カーテン越しに入る日光の明るさが、午後だと語っていた。
「んん…あれ?」
二度目の伸びをしながら周りを見渡すと、亜紀の姿はなかった。
(自分の部屋に帰ったか、朝飯でも作ってんのか?)
ベッドから出たオレは、改めて裸だった事を知った。
「そういえば…あのまま寝ちまったんだな」
昨夜の“甘い出来事”が甦る。オレのモノと亜紀のモノが混じり合い、身体からは淫靡な匂いがしていた。
「さすがに、これじゃマズイな」
オレは階下に、シャワーを浴びに行った。
身体を泡だらけにしながら、頭の中には自然と、亜紀が現れる。
「また勃つのかよ…」
すべてを出し尽くしたハズなのに、思い出した度にペ〇スが反応してしまう。
(オレは亜紀の云ったように、ただの変態野郎なんだな)
シャワーを終えて、キッチンに向かった。
冷蔵庫を開けると、缶ビールが数本残っている。オレは1本取り出し、隣のリビングのドアを開けた。
「さて…と」
ソファーに腰掛け、ビールを飲もうとした時、テーブルの異変に気づいた。
封筒がひとつ、あった。
「なんだ?」
手に取ると、見覚えのある字で“和哉へ”と表に書いてある。
「また買い物か?」
オレは楽観視して、封筒の中から便箋を取り出した。
便箋は、3枚あった。
「なになに…和哉。今日までありが…」
──何書いてやがんだッ!
和哉。今日までありがとう。改めてお礼云うのって恥ずかしいから、手紙にするね。
去年の秋から、わたしの問題に真剣に関わってくれたこと、感謝してます。
貴方は最後まで、竹内との関係修復を考えてくれたね。それに、わたしのわがままにもずっと付き合ってくれて、嬉しかったよ。
(何を云ってんだ。当たり前じゃないか…)
和哉ももうすぐ異動だったね。でもね、わたしも今日、この家を出ていくよ。母さんや父さんには後で伝えるから心配しないで。
(なんだと…)
オレはリビングを出て階段を駆け上がり、亜紀の部屋に飛び込んだ。
「そんな…」
目の前には、がらんとした空き部屋があった。